「贋作・櫻の森の満開の下」 夢の遊眠社

  • 中座  1階ヌ列3番
  • 作・演出  野田秀樹

中座の前にかかった「夢の遊眠社」の看板を見て、何故だか泣けてしまった。前回の南座公演と同じく、また芝居にはまった小屋だったので安心した覚えがあります。

初演が素晴らしかったのは大抵再演がっかりするんですが(美化されてるもんで)、これはそんな美化ぐらいじゃビクともしない。冒頭流れてきた音楽を聴いたその瞬間から前回の感動が一気に甦ってきて涙が溢れた。前回に引き続き(というか、この人しか考えられない)夜長姫を演った毬谷友子さんは、一層凄みと愛らしさを加え、お前、夜長姫の生まれ変わりちゃうか?っていいたくなるぐらいはまってました。もう一種壮絶だった。前回、上杉さんだったマナコに羽場さんが大抜擢。いやあ成長したよねぇ。まあちょっと力不足っていう気はしたけど、しょうがないやね。オオアマは若松武さん。段田さんのアッサリ系オオアマと対称的に、コッテリ系オオアマでした。しかし野田さんはこういう顔つくづく好きなんだなぁ。耳男の野田さんは変わらず。やっぱり良かったです。

作品自体はラストを結構変えてた(気がした)のでびっくりしましたけど、この作品がすごいのは前回には前回の、今回には今回の良さがあること。両方を「良かった」と思えるのは脚本と演出力の確かさあってこそでしょう。さすが野田さん。

    • 02/28  中座 1階ヌ列5番

私の中で「半神」と並ぶ野田作品最高峰。
毎年櫻の咲くシーズンになると、この作品でかかっていた音楽が自然に頭の中を流れます。そして夜長姫の高い声と、耳男の台詞が甦ってきます。
「この櫻の下からどこへもまいらず、けれども、どこへでもまいれるおまじない。

いやあ、まいった。・・・・・まいった。」