「BOYS TIME」

実は、と言うほどのものでもないが私はミュージカルが大の苦手です。それはよく言われるように、今まで普通に会話していたのが突然朗々と歌い出したりするのがこっぱずかしいというのもありますが、まずミュージカルで歌われる歌というのがなんて言うんでしょう、音楽に「物語」をのせているためにミョーーーに字余りになったり字足らずになったりするじゃないですか、あれがどうしようもなくむずがゆいというか落ち着かないというか。そんな私がなぜこれを見に行ったのかと言えばそれはもう藤井隆が出ているから。という一点に尽きるわけです。

このミュージカルは3部構成になっていて、1部がプロローグ、2部がショータイムで歌と踊りだけ、3部がPLAY、つまりセリフ劇ですな。なので、私がもっとも苦手な「突然歌い出し攻撃」はほっとんどなくてですね(一カ所あるにはあったが)物語の進行を歌に託すのも1部のプロローグにしかないんですよ。2部と3部は歌は歌、芝居は芝居。しかも、これが多分一番自分にとっては良かったと思うんだけど、今回の音楽監督トータス松本さんで、殆どすべてのナンバーがウルフルズの歌そのままなんです!!ミュージカルにあわせて作った歌ではなくて、ウルフルズが今までつくってきたナンバーをそのまま使っているので、歌は歌としてすごく聴ける、というかいい歌だから見てても楽しい。「ガッツだぜ」とか「借金大王」とかなじみもあるから聴きやすいし。

そして何よりも胸を打たれたのは、やっぱり演じる人達のパワー。特に2部のショータイムは圧巻で、これでもか!というぐらい迫力のあるダンスを見せてくれました。最後バン!と役者がポーズを決めた瞬間「ブラボー!」って叫びたくなったぐらい。いや実際叫んだんですけど。ブラボーとは言っていないが(笑)もうホント満場の拍手喝采で、なんかこうね、指笛とか吹きたいような感じ。わかってもらえるだろうか(笑)。

10人の役者さんみなさんすごく個性的でよかったです。藤井隆くんは意外なことにほとんどテレビのキャラクターで役をやっていたのでそれがちょっと残念だったかなー。3部で見せてくれたような「いつもと違う藤井隆」をもうちょっと見たかったなとは思いました。でもダンスめちゃうまい。笑いのテンポは絶妙だし。山本耕史くん(ひとつ屋根の下で車椅子の男の子だったひとと言えばきっとわかっていただけると思うが)はほんとビックリするぐらい歌も踊りも芝居もうまい。びっくりした(笑)。あと14歳の少年役だった森山未来くんの踊りがすごくて、「ジャニーズJr・・・?」と一瞬思ってしまったさ(笑)

しかしなにより、芝居の魅力というのは「生身の人間が目の前であらん限りの力をだして舞台に立っている」ことなのだなぁということを改めて実感いたしました。

これも結構実力派のキャスト揃いだったんですよね。IWGP佐藤隆太くんはこれがデビューじゃなかったっけ。でもって私の初・山本耕史でしたね。しかし脚本が土田さんだったっていうのが、なんか意外な感じがします。