「恋愛戯曲」  KOKAMI@network

鴻上さんによれば「ウェルメイド」な話だそうで・・・ご本人も「違うと言われるかもしれませんが」と断ってらっしゃるあたりが自覚あるんだなぁ〜と思いましたが、私もやっぱりこれはウェルメイドか?と思いました(笑)

「トランス」に引き続き・・とあったのですが、まあ確かにトランスに近いテイストはあるかもなぁと思いました。言い換えれば鴻上さんらしい芝居っつーか。世界が錯綜したり、入れ子だったり。でも構造的には確かに鴻上さんらしいなぁと思ったんですが、中身的にはどうなのかなぁー。何が言いたかったのかなぁ(笑)もっともっとえぐって欲しいなぁと言う感じ。もっともっとひりひりさせてくれよという感じ。それとも今そんな感情を求めるのはもはや時代遅れっつーことなんでしょうか、あたしこそが。

二人組の強盗が出てきたのも、観てる間は「なんで強盗?」という感じだったんですけど、あとでパンフ見てあ、そういうことなの?みたいな。「世界を敵に回したい二人」「お前と一緒に人生を面白くしたいと言いながら人生が一番でお前と一緒にが二番の男」ってことなの?みたいな(笑)それはぼんやり感じましたけどそれじゃあそこで仁と京子は徹底的に言い合って欲しかったなっつーか・・。

時折挟まる何気ないシーンにものすごい良さを感じるところもあったのですが(寺田と真由美のダンスのシーンは秀逸)、真由美が例えば本当に好きなのは寺田だとしても、その相手から「脚本より現実をとったらあなたを許さない」といわれているやるせなさとか、例えば向井に本当に恋をしていても、それを戯曲に還元してしまおうとする自分に対する哀しさとか、なんかいろいろ書かれていることはあったのでしょうが、私の感情は最後まで誰にも共振しませんでした。

芝居全体ではやはり面白く作ってらっしゃってて、飽きさせずに見せる腕はさすがだなぁとも思いました。しかしそれにしても暗転はおおすぎじゃないだろうか。

役者さんでは大森さんがとにかく素晴らしいです。鴻上さんのホンのテンポを見事に体現している感じでした。また組んで欲しいですね。高山さんも良かったーーー。ひとり芝居ちょっと見てみたくなった(笑)