「リチャード二世」 グローブ座カンパニー

もーーーーーう、好き。もう大好き。なにがって、こういうタイプの演出が!!!黒い衣装、シンプルな舞台、意味深な群唱、ハンドクラップ、ううーーん好みです!こういう一種抽象的で、セットでもセリフでも衣装でも極端になにかを「説明」しない演出、超好み。山崎清介バンザイ!

シェイクスピアを真っ向勝負でやられるとちとツライ、っつーのが正直なところなんです。物語にある魅力はもちろんすごいと思うけど、それを忠実にやられると何しろ長いし!みたいな部分もあるわけで。個人的に笑いがなくて2時間を超えるというのはきびしいんですよ〜。セットとかばっちり作られちゃったりするとああ・・・ってそれだけで思ってしまう部分もあり。ところがこれは「こどものための」だからしてもうくどいシーンとかばっさりアレンジしてるし、(でもストーリーは十分把握できる)笑いをとるのも忘れないし、肝心要の「王の座に座っていることが王であることなのか」「不当な力によって王位を得た王に王の資格はあるのか」って部分はヘンリーの葛藤も含めてきっちり見せてくれるし。最後のシーン、「ヘンリー・ボリングブルック」と呼ぶ声が聞こえて、一陣の風がひとりの男の帽子を跳ね上げ、黒子の中から浮かび上がる前王リチャードとヘンリーが向かい合うシーンなんか、しびれたよ!このシーンがそのまま続編に当たるヘンリー四世に繋がっているらしいんですが。いやあそれにしてもあの瞬間の完成度はすごかった。頭から離れなかった、しばらく。

役者さんなんだけど、まず言いたいのはリチャードをやった吉田鋼太郎さんは後藤大王に似てる!!つか激似!!このシリーズでおなじみの方はそうかなぁ?って感じなのかもしれませんが、私今回初見なんで。ちょっと遠目だったっつーのもあるんでしょうが一瞬チラシでキャスト確認しそうになった、それぐらい似てる。声が似てるのかなぁ?またあのリチャードの王様の格好がさぁ、人間風車の王様とかぶるんよ!今にも「だって君たちファーマーじゃん」って言い出しそうで(笑)小須田さんは相変わらずクールな感じで、あたしが一番好きなのはリチャードに王冠を返すよう迫るところ。最後に「ロンドン塔までお連れしろ」って髪の乱れを直しながら言うところがああ、人非人!って感じで大好きです。伊沢さんも久しぶりだったなぁ〜、相変わらず可愛かった。ああ、あと忘れちゃいけない山崎さんの「おばちゃん」(笑)あんなシリアスなシーンなのに笑い持ってく持ってく。人形の扱いも声のトーン変えるのもものすごく自然でうまいなぁと。流石っす。

「真実の悪い知らせよりももっとたちの悪い、嘘のいい知らせ」ってセリフ、いいよねぇ。こういうのが散りばめられてるところがシェイクスピアの魅力なんでしょうかね。

世界に出しても恥ずかしくないシリーズだと本気で思っています。シェイクスピアの悲劇の「本質」を捉えているからこそ出来る大胆なカット、大胆な演出。「こどものための」に騙されてまだこのシリーズを見ていない演劇ファンがいたら、それはずいぶんともったいないことをしていると言えましょう。