「オイディプス王」

萬斎さん好きなので、ギリシャ悲劇かよ・・・という不安感はありつつも(笑)、見に行ってきました。最初のコロスのシーンが、というかコロスのシーンは結構どれもなんだけど、なんかあのぐるぐる廻って倒れるっていう動きがなんかだんだん観ていたらおかしくなってきてしまって。すべてにおいて「泣き屋」さん風なんだよなあ。

話の筋はもちろん知っていた訳なんですが、シェイクスピアの悲劇とかを観ていても思うけど「あんたたつ・・・」とついついツッコミを入れたくなる直情径行ぶりがすごいよね。オイディプスだってそこでイオカステの忠告聞いてりゃあ・・・とかね。思ってしまうんですわやっぱり(笑)しかしまあパンフで蜷川さんも書いていたけれど、あのすり鉢のようなギリシャの円形劇場で、まさに「神の視点」から演劇を観ていたギリシャ人にとってはこういう「己の首を絞める」的な進行の悲劇はたまらなく面白かったのでは、とも思います。これは舞台を見上げて見る芝居じゃないやね、見下げて見る芝居だね。

己の人生が預言どうりに進んでいるということにオイディプスとイオカステが気が付くまでの展開は一種サスペンス的な色合いもあるので面白かったんですが、最後がちょっと長いなぁ・・・とか思ってしまう罰当たりな私なのでした。

生萬斎さんは初だったんですが、動きは綺麗で声も姿も良し。ただちょっと動きがパターン化されすぎか・・?という印象も。型よりももっと客席から見たときの見栄えを意識して欲しかったような気もします。(蜷川さんの問題のような気もするが)しかし一種独特の、荘厳な雰囲気というのを醸し出しているのはさすがだなと思いました。イオカステの麻実れいさんは、多分これも初めて見たんじゃないかと思うんですが、響きのある声と立ち姿の綺麗さ、もーーーうっとりもんですよ。出てきただけで一瞬にして舞台が締まりますなあ。カーテンコールで真っ白な衣装を着たお二人が中央で一礼すると(麻実さんは跪いて)客席からため息ともつかぬ「ほう・・・・」という感嘆が聞こえてきましたもんね。それぐらい絵になるお二人でした。あとイオカステの弟クレオン役で吉田鋼太郎さんが出てらっしゃったんですが、声の張りも感情の豊富さも堪能させていただきました♪うっまいよねえ。一瞬ちょっと笑いを取りに行こうとしたりして、そんなところもラヴ。