「家が遠い」五反田団

どこにでもいそうな中学生の、どこにでもありそうな会話のリアルなリアルな再現。いやもう実はリアルすぎて、役だということを忘れて登場人物に嫌悪感を抱いてしまいそうになるほどでした。いやはや濃密すぎる会話劇。とはいっても時折ぽーんと「芝居」に世界が戻ってくることがあって、そのあたりになると正直ほっとした(笑)。

「なんで」「「意味わかんねえ」「全然ちがくて」。バンドをやりたい、エロ本、エロビデオ、「リストラじゃん?」誰かに「先を越される」ことがなによりイヤ、だけど自分にはなにもない。そういうだるさ加減が地ののめり込むほど重かった。いやまあ面白くもあったんだけど。ビルの上にいる謎の男への視線と、物言わぬ男、山田の存在がこの芝居の縦糸と横糸になってる感じで、縦糸部分が私は非常に気になりました。最後に地面に横たわってる山田の姿が飛び降りてきた男にも見えたりして・・・考えすぎですかね。山田に関してはまったく説明もなされない分、どんどん存在が逆に大きく感じられるところがすごい。

帰ろうか、帰りなよという提案が何度も出されるのに誰もそこを動かない、というのはえ?ゴド待ち?と思うのはやはりまた考え過ぎなのか(笑)ビルの上にいる男にとってもあの中学生達にとっても、同じ心情であろう、「家が遠い」というのは秀逸なタイトルだなあと思いました。