バトンつれづれ

4日のエントリで芝居バトンについて書きましたが、その中の「よく行く、または特別な思い入れのある5劇団、もしくは5人の芝居人」。私が挙げた5人の方々について私は「王道すぎる結果になってしまう」と書きましたけど、なんつーか、自分にとっての王道が彼らだった、ってだけだよね。
だって松尾さん入ってないしケラさんや長塚さん、井上ひさしさんに蜷川さんつかさん、「王道」の名に相応しい方々は他にもたくさんたくさんいるわけで。
でも私にとっては彼らの名前しか出てこないんですよねえ。
そう思うと、やっぱり芝居を見始めた初期の頃に出会った方々にやっぱりすごく影響を受けているんだなあと今更ながらに思い知らされました。
バトン侮りがたし。
さて!
快くバトンを受け取って頂いたピヨ丸さま*1がやってらっしゃった勝手に番外編がすごく面白そうなのでやってみました!でも、こういう「オールタイムベスト」をやってしまうとどうしても初期の作品に集中しがち!ってことで、2000年代は別にしてみますた!誰にも頼まれてないのに!まさに一人上手!!

<勝手に番外編/思い入れのある芝居5本・1999以前>

ビデオ/DVDで見てみても、この作品の隙の無さっていうのはずば抜けているんだなあと改めて感じ入っている次第。この5人の役者*2が同じ紀伊国屋の舞台に立ち、汗と汗と汗にまみれながら演技バトルを繰り広げているこの贅沢さ、チケットの取りづらさ、紙吹雪と銀テープ。芝居を観ながら「ああ、いま、死ぬほど幸せだ!」と実感した瞬間でした。

  • 「夜明けの花火」Cカンパニープロデュース

往年のつか戦士、風間・平田・石丸三羽烏が揃っていらっしゃった舞台。芝居を観て、「これは自分のことだ、自分のことを言われている」と思ったのは初めて、そして号泣のあまり終わった後席を立てなかったのも初めて。

初演南座公演。芝居って、演劇って、こんなに美しいものなのか!ということをこの舞台で教わりました。揚幕のしゃらん!という音、毬谷夜長姫の美しさ恐ろしさ、もう桜並木を見るたびにこの芝居の風景が頭の中で甦ります。

再演中座公演。たぶん、新感線の今の躍進を支えている原動力はすべてここにあったと言っていいと思う。古田新太の役者としての華、色気が炸裂していた公演。百人斬りで笑いながら手を叩きながら、感動して泣いたという感情のジェットコースターのような思い出が。

すごくすごくすごく(×10)好きな脚本。本当に大好き。死ぬほど繰り返しているけど、この脚本がこのまま埋もれるのは惜しい、惜しすぎる。マジで映画化してくれませんか、ハリウッドさん。

<勝手に番外編/思い入れのある芝居5本・2000年以降>

  • 「農業少女」NODAMAP

この作品で深津絵里に惚れ込みました。泣いたなあ・・・。最後のシーン忘れられません。明星さんに松尾さんと少人数4人でがっつり見せてもらった芝居でした。

また野田さんか!でもこれもすごく好きなんだ・・・時節が合いすぎてちょっと不幸な巡り合わせになってしまった気もしつつ、でも松たか子さんの女優としての底力にしてやられっぱなし。実は海外でやってみて欲しい作品のひとつ。

この私がハムレットをチョイスするなんて!自分でも驚きです。でもこのカンパニーのハムレットは本当に素晴らしかった。小須田さんがご自身の日記*3でこのカンパニーについて「特に悲劇を観ているとある種“ストイックなまでにそぎ落としたもの”を感じる。」と書いていらっしゃるけど、大いに頷いてしまいました。このカンパニーもまた、世界に打って出て欲しいひとたちであります。

00年新橋演舞場。ああ、きた、とうとうきた。そんな思いで胸がいっぱいになったのを思い出します。これはまさに「祭り」だったよなあ。作品そのものの出来もさることながら、あの「今自分はすごい舞台に立ち会ってる」という感覚をリアルで感じられたのは幸せでした。

今でも鮮やかに思い出す、あの緑の芝生に向かって駆けていく二人の後ろ姿と、その向こうに見える大阪の街並み。興奮のあまり震えました。思い入れたあまりNYまで行っちゃって、でもここまで入れ込める作品に出会えたことが、何よりも幸せでした。