「ライフ・イン・ザ・シアター」

  • シアタードラマシティ 23列44番
  • 作 デイヴィッド・マメット 演出 ポール・ミラー

2人芝居。バックステージもの。

1時間45分という短い上演時間でしたがちょっと長く感じたなあ。シーンの断片が続くからってのもあるのでしょうけど、場面と場面の繋ぎ方に工夫が無さ過ぎて萎えた。それが一番長さを感じた原因のような気がする。

背景に劇場の観客席を描いているってことは、今こうして見ている芝居の裏側で、まさにこんな風景が繰り広げられているのでは?という感覚を刺激する意図なんじゃないかと思うけど、それがいまいち成功していなかった感じ。

藤原くんも市村さんも「愛すべき役者」でありすぎたというか、藤原くんは中盤もっともっと若さに傲慢な嫌な奴であってほしいし、市村さんも経験というものに縋った説教臭いだけのジジイであってほしい。だからこそそのあとの、誰も居ない客席を前にして、劇場での人生、LIFE IN THE THEATREをロバートが語るときの、一瞬の共感が美しく感じられるのではないかと思うのですが。

お二人とも観客を自分のペースに巻き込んでいく術に長けてらっしゃるのだけど、あまりにもシーンが断片的すぎて自分のペースを作り切れていない感じも。前述したシーンは多分この芝居のキモだと思うんだけど、シーンの尺も長かったしここは気持ちよく巻き込まれて見れたなあ、という印象でした。

たくさんの劇中劇が演じられるのですが、一番印象に残ったのはボートの上でのふたりの会話。あれ、面白かったわあ。藤原くんの「俺達を殺すのは安全な船を造る代わりに云々」というセリフが、日本を今にぎわせている建築士絡みの一件を思い出させました。