「写楽考」

東洲斎写楽という浮世絵師の謎を書きつつ、描くということ、才能を与えられるということについて向き合っていく話。本来はもっと長い戯曲らしいのですが、今回の上演では2時間にアレンジ。

アレンジしたからなのかどうかわかりませんが、ちょっと話の焦点が散漫。漫然と2時間が過ぎた、長くなくていいけども、といったような印象。10年の月日が経ったあとの写楽歌麿の再会の場面と、そこで語られる写楽の長台詞が肝だろうとは思うんだけれど、うーん。堤さんがダメなわけでは決してなくて、むしろ堤さんだからこれはここまで保ってるよなあという感じ。難しいシーンですよね。

キャストの中で、もっとも書かれている台詞に柄が沿っているなあと思えたのは断然西岡徳馬さんだった。商人の如才ないいやらしさと、一方で時代を正確に見抜く鋭さが感じられてよかった。逆に一番沿ってないなあと思ったのが長塚さん。すごくいい役だと思うんですけど歌麿。その台詞、言っててちゃんと自分で信じてる?っていう風に思うところがいくつもあった。終始苦虫を噛みつぶしたような顔をしていたのも気になったところ。克美さんやドリさんは手堅い感じ。七瀬さんもよかった。

写楽の代表的な大首絵がセットに組まれてあって、オープニングでそれが降りてくる演出は良かったな。あと太鼓と笛も。