「ドブの輝き」大人計画

ネタバレしてます。
宮藤作品/井口作品/松尾作品の順で上演。2時間半ぐらいかな。休憩はなし。
宮藤さんと松尾さんの作品って、それぞれ好きなんですけど、こうして続けてみると(そしてある種「ダメ」とされる人間を描くという共通項で見ると)やっぱり全然違うんだな、って思いました。宮藤さんのは「書くセンスがある人の作品」、松尾さんのは「書かないと死んじゃう人の作品」って感じ。確実に、的確に面白くするセンスがやっぱり宮藤さんには備わっているんだなと思う。松尾さんのほうはもっと切実なものがあって、だからツボにはまると圧倒的に持って行かれてしまう感じがありますよね。

宮藤さんのほうの作品は、それぞれのキャラクターの暴走ぶりもさることながら、「演歌の勘所は不幸なのですから」という台詞に妙なカタルシスさえ感じさせるところがすごいなと思った。松尾さんの作品でいちばん好きなのは「ニセモノだらけの人生なら、死んで本物に」というところ。

阿部サダヲさんはじめ今やもう「豪華役者陣」ともいうべき役者の皆さんの技も堪能。皆テイストの違う役を振られている場合が多いのでその演じ分けっぷりも面白かった。サダヲちゃんは見事ですなあもう(笑)池津さん、猫背さん、伊勢志摩さん、宍戸さん、女優陣はスゴかったなーホント!伊勢志摩さんはくしくも両方で外国人(風味)だったね(笑)宮藤作品での池津さん、そして松尾作品での猫背さんの輝きっぷりにはもう脱帽。あと個人的には映像作品も含めてここんとこすごく格好良くなってるし面白くなってるよなあ!と思ったのが近藤公園さんでした。それぞれで主役をはった宮崎吐夢さんと村杉蝉之介さんにも拍手。とくに村杉さんは松尾作品での男前っぷりもよかったです。

急遽代役となった成志さん、宮藤作品の方はあまりにハマっていて宮藤さんが台本直したのかと思ったりもしたんですがそうでもないのか。多分キャラ的には松尾さんがやったら違う感じなんでしょうけど、成志テイストを違和感なく混ぜていてさすがだなと。

井口作品のみの出演だった松尾さんの映像と、そのキャラ説明での「疲れやすい」というコメントでの笑いが、なんだろうな、すごく暖かいものに感じたんですけども、やっぱり皆、松尾さんの帰りを待っているんだよねえとしみじみ思ったりもして。