2007年のベスト

明けましておめでとうございます。観劇本数も下降の一途でさびしい限りのblogですが、ちまちまと更新していきますので今年もぜひともご贔屓に。
というわけで今年の予定に入る前に昨年のベスト行ってみまっしょい。

総観劇本数43本(リピート含まず)。一昨年の半数ぐらいだなあ。でもなかなか作品的にも粒ぞろいだった感じがあります。以下作品と一言メモ。上演順です。

「朧の森に棲む鬼」
新感線が好き、とかいのうえ作品が好き、とかそういうことと関係なしに極めてよく出来た一本だったと思いますし、エンタテイメントとしてここまで客を満足させるものを提示できるというのはまったく凄い。DVDが楽しみです。
コリオレイナス
初日の感想を見て慌ててチケット取ったのですが、もう何がどうというよりとにかく勝村オーフィディアスのあの人外魔境のかっこよさに尽きる。芝居を見ながら思わず「し、しぬ・・・!」と口走った(あまりのかっこよさに脳内で処理不能状態に陥った)ほどのかっこよさでした。熱烈再演希望。
「TEXT」
ラーメンズ久々の本公演で、期待度が高かったのももちろんですが、しかしあのラストを飾ったコントの素晴らしさには脱帽。「コントしかできませんが、コントにはなんでも出来ると信じています」とかつて豪語した小林賢太郎ならではの世界を堪能しました。
コンフィダント・絆
三谷さんの作品の中でも、エポック的なものになるんではないでしょうか。「笑の大学」あたりと双璧といってもいいかもしれない。大人数の群像劇を得意とするひとではあるけれど、少人数での芝居もじつははずれがないですよねえ。キャスティングも絶妙、多分、この年一番涙した作品。
「犬は鎖につなぐべからず」
岸田国士作品のコラージュということでしたが、やーこれは見事な一本でした。ケラさんは「すべての犬」といい犬がタイトルにつくといいのかとかわけのわからんことを思いつつ、とにかくケラさんの構成力の勝利でしょうねえ。緒川たまきさんの美しさと、「屋上庭園」での植本潤さんにうっとり。
三人吉三
この中では唯一の再演作品ですが、劇場で見るのは初めてだったので。福助さんのお嬢と橋之介さんのお坊のシーンはほんっとに大好き。まばたきひとつで空気を変える勘三郎さんもさすがでしたし、勘太郎くんと七之助くんふたりのあの恋に落ちる場面もよかった。
「THE BEE」
日本版・ロンドン版含めて。たった一時間強の作品なのに、体力を根こそぎ奪われるような濃密な劇世界。ほんとにぐったりしましたもんね。芝居の力っておそろしい、そういう作品を野田秀樹が作り続けている、続けていこうとしている、そのことに心から敬服します。
「ひーはー」
馬鹿馬鹿しくて、くだらなくて、死ぬほど笑わせてくれる。後藤ひろひとというのはほんとにすごい人ですよね。涙が出るほど笑ったのももちろんなんですけど、ほんのすこしのエクスキューズでその笑いを雪だるま式に大きくしていく脚本にうならされました。
「ビューティークイーン・オブ・リナーン」
白石加代子大竹しのぶのガチのぶつかり合い、これだけでもまったく「見る価値ある」作品だったと思いますが、長塚さんとマクドナーの相性のよさ、演出や場面処理のうまさにも目を惹かれた公演でした。それにしても、ほとんどが二人の場面で進行していくのに「濃すぎる」空気にまでなってしまうってのが凄すぎる。
「わが闇」
ひさびさにナイロンに書き下ろしたケラさんの新作。いやこれほんと凄かったですよ。年明けから地方公演があるので、見られる方はぜひ見ていただきたい。ナイロンの役者陣も素晴らしいし、スタッフも含めた「劇団」の底力を見せてもらえる芝居でした。必見。

ベスト1は何かというとこれがねえ、エンタテイメントとしてあー面白かった!満足!という度合いでいけば「朧」だし、重い!重いよ!でも凄いよ!というインパクトでいけばBEEなんですよね〜。あまりにも毛色が違いすぎて、満足した部分が違いすぎて甲乙つけがたし。

面白い作品もたくさんありましたが、なんかなー、客をバカにしてんの?みたいなプロデュース公演がだんだん増えてきたなあっていうのも近年とみに感じる事項ではあったりします。コクーンやパルコでも「???」と思う作品がけっこうあったし、なによりそういう作品に限ってチケット代が高い。キャスティングバブルはもうとっくに弾けていると思うのに、まだそれに執着しているような名残が見受けられますよね。

そういう意味でも、野田さんのTHE BEEでの挑戦は凄いと思うし、野田さんにばっかりまかせてないで、そのあとに続くひとは出てこんのかい、と歯がゆくもあり。

今年もたくさんのいい芝居に出会えますように!