あのレストランに続く道

実家に届いていたDMを転送してもらいました。もういろんなところで書かれていますけれど、年末の青山の風物詩「ア・ラ・カルト」が昨年の20周年をもって一旦終了、白井さんと陰山さんは前回をもってこのプロジェクトを離れられたそうです。今年はリニューアル準備中として「おしゃべりなレストラン」を上演するとのこと。来年からは新しい「ア・ラ・カルト」が誕生する予定。

遊機械がなくても、アラカルトは続いていて、去年も「今年限り」のアナウンスはなかったから、続いてくれるのかな、続いてくれるといいなとおもっていたけれど、とうとうこのときが来てしまったのかと。

もうあの人たちに会えないのかとおもうとただただ寂しさがよぎりますが、ひとつだけ個人的によかったと思うことは、去年、念願の「青山円形でアラカルト」を果たすことができたことです。研修中で、一度取ったチケットが都合で行けなくなって、もーどうしようか迷ったんだけど、講義のあとダッシュで、当日券のキャンセル待ちにならんで、ダメだったら哀しすぎる!と思いながら、名前が呼ばれて、なんとか見ることができた。あのとき、やめないでよかったな。また次、なんてことはないんだって、その時そんなことを考えたわけじゃないけれど、いつだって「今」しかないんだなと改めておもう。

アラカルトの感想を書くたびに書いていたことだけれど、あの「コーヒー」のダンスのあと、テーブルのろうそくを吹き消していくギャルソンが、さっきまで老夫婦がいたテーブルでそれを思いとどまって、おもむろにタバコを取り出してテーブルにかがみ込んでろうそくで火をつける、おちていく灯りと、ゆっくりと立ちのぼるタバコの煙、あのシーンはほんとうに素晴らしい。ひとつの台詞もないが、圧倒的な叙情と、劇的な興奮に充ち満ちていた。あのシーンは素晴らしかった。素晴らしかった。

20年もの間、ひとつの演目が同じ劇場で同じ時期にかけられ続ける、毀誉褒貶の激しい世界にあって、それがどれだけ大変なことだったか私には推し量ることすらできませんが、とにもかくにもそれは演者、スタッフの「ア・ラ・カルト」にかける情熱のたまものだったのだろうなあと思います。
お疲れさまでした。
すばらしいたくさんの瞬間をどうもありがとう。