「−初恋」土田英生セレクションvol.1

  • テレピアホール P列8番
  • 作・演出 土田英生

MONOの初演・再演は見ていませんので、脚本としても作品としてもまっさらな形での「初対面」でした。全国公演はあと大阪を残すのみかな。

小さな島でのゲイ・コミュニティー。反発する外からの圧力、そしてコミュニティーの中で生じてくるひび割れ。設定としてはいろんなふくらませ方ができて面白いなあと思いつつ、若干気になったのはアパートの住人である「彼ら」の一様性というか、まあ最終的には一様じゃないからひび割れていくんだけど、だとしても男として男に愛されたい人と自分の性は女でだからこそ男が好きという人がいる中で、ただ「誇り高く」という言葉でどちらかがそれを抑圧するっていうのはなんとなくしっくりこないなあと思いました。

舞台装置は出演もされている奥村さんで、相変わらず素晴らしい。あのセットだけで設定となったアパートの歴史やその居心地の良さが感じられる舞台装置でした。

キャストは久しぶりに拝見した今井朋之さんをはじめ皆さん安心して見ていられる方ばかりでしたが、全体としてみるとなんというか、どことなく均一なんですよね、印象が。もっとでこぼこした、どこかいびつな感じがキャストのなかであったほうが説得力は出るのかなあと思ったり。

とはいえ、常に洗いざらしの白いシャツをお召しになって、きりりとした物言いで舞台を引っ張っていた今井さんや、その今井さんに相対するキャラクターとして存在感を示していた片桐さんにはとてもとても楽しませていただきました。あと、千葉さんのキャラクターもね。制服のくだりは爆笑しましたよ!