「ビリーバー」

勝村さんとスズカツさんが20年ぶりにタッグ!と聞けば食いつかずにはいられませんって。
地方公演ご覧になる予定の方は以下回避でおねがいしまっす!

サンタクロースの存在を信じる科学者とその家族。「信じる」ことが引き起こす様々な波紋を4人の役者で演じていくんですが、くしくも「表に出ろいっ!」と連続して「信じる」という言葉がキーワードになる芝居を観たなあ。こういうのって、不思議と連鎖するんですよね。

さて、果たしてハワード(勝村さんの役)はサンタを信じているのでしょうか。この人物はあの小惑星をのぞき込んで「トナカイがそりを引いている」と言ったとき、目に見えるままを言ったのかほんとに頭がイカレたのか。思うに彼は、断固たる決意を持ってあのとき「信じると決めた」のではないのかなと見ながら思いました。やっぱりこの作品には9.11の影というものが色濃くあって、自分の信じるものを否定されるたびにハワードが反論する、「そっちの奇跡がアリならこっちだってアリだろう」「人の信じるものを否定したりしない、ただ『いい子にしていなさい』とだけいって1年に1度プレゼントをくばる存在のほうがよっぽどいい」というその言葉の端々にそれが浮かび上がってくるようだなあと。

そこにあるから信じるのではなく、信じるからそこにあるんだということ。ハワードはそれを「早く大人になろうとしている」我が子に伝えたかったのかもしれないね。

最後の展開は好みの分かれるところだろうなあと思いつつ*1、とはいえ勝村さんがこれでもか!という力技を繰りだしていて、まあ、あれは泣くよね。あの持っていきようはずるい。どれだけ声を滲ませても芝居のぶれない勝村さんすごいなあ。

キューブ型のボックスを積み重ねて作るセット、アドリブかと思われるような即興性を感じさせる応酬、スズカツさんが「かつて芝居を創ったときの手法」というあれこれも存分に楽しませていただきました。世田パブでやることを意識して、セットの高さを用意されているんだろうなとは思ったんですけど、しかし世田パブの天井はいかんせん高さがありすぎるな・・・というのも思いました。もう少しミニマムな空間だともっと違う熱が空間を満たしたかもなー。

川平さんの舞台の上での押し芸っぷりには全幅の信頼を置いているのでまったくもって期待通りでございましたが、9歳の息子を演じた風間くん、とうぜん9歳じゃないのに(当たり前)かんぺきに「9歳の息子として存在」していました。素晴らしい。いやこれこそまさにビリーバー、舞台の力を信じるってこういうことじゃないの?っていうね。

見終わったあとで、ああ、そうだ、今日は9月11日だった、ということを思い出しました。

*1:しかし小惑星が軌道を変えた、というニュースにこれは現実、僕の問題だ、この目で確かめたい、というようなことを言いますがあれは科学者ハワードとしてなのかビリーバーハワードとしてなのかちょっと判断に迷うところ