「奇ッ怪 其の弐」

2年前の陣営がほぼそのまま、ハコを大きくして帰ってきました。現代能楽集シリーズ。

上演時間が1時間40分とコンパクトにまとめられていて、それだけでも星ひとつあげたくなっちゃう単純な私。古典の枠組みをそのまま援用していた前回と違い、今回は「今」をものすごく意識した脚本。3.11の影響がやはり色濃くあった気がします。

ひとりひとりが語り部となっていく構成は基本的に前回を踏襲しているのですが、今回はそこに生者と死者というラインもあって、それが最後に山内さん演じる神社の息子の物語に集約していくわけですが、そうなることは予想しながらも用意された輪っかがどんどん狭まっていくような感覚はなかなかスリリングでした。

なんだかとっても久しぶりに拝見したような気がする(そうでもない?)マイラブ小松和重さんが相変わらずのゲラ戦士ぶりでほほえまでしたが、前回にもありましたけど、壊れたレコードのようにおんなじシーンを繰り返させたときのこの人の異様なこわさってなんなんでしょうね。あんなにほわほわしてるのに、いきなり異形感が出るというか。

でもって、これも前回実感したことなんですけど、池田成志っちゅーひとはなんつーかほんと曲者っつーか、いやうまい、うまいよ知ってたけどー!って気分になりました。やっぱりこの中で、あの板の上で舵をとってるのは成志さんなんだよなあ。

あの世とこの世の端境、みたいなセットもうつくしかったですし、「彼ら」の動きが何を指しているかが終盤一気に氷解するあたりはとても見応えがありました。ラストの幕切れもとってもすき。

「鎮魂」とひとことに言っても、今その思いを昇華して舞台のうえに乗せる、というのはなかなか難しい作業だと思いますし、そのあたりのブレが見え隠れしなかったわけではないですが、しかしやはり濃縮されたいい舞台だったとおもいます。