中村勘太郎改め六代目中村勘九郎襲名披露二月大歌舞伎 夜の部

  • 鈴ヶ森

拝見するのは二度目だと思うんですが、なんといっても吉右衛門さんと勘三郎さんが十数年ぶりに共演するということで話題の一幕でした。いやー、さすがに大顔合わせだなというか、なにげない場面でもきまることったらない。白井権八が長兵衛の駕籠の灯りに刀をかざしてみせるとことか、まるでよくできた一幅の絵のようでした。吉右衛門さんの聞かせどころの台詞もすばらしくて、30分強とは思えない濃密な一幕!

  • 口上

新橋演舞場、けっこう久しぶりだったような気がするんですが、やっぱりこれだけ間口のある舞台にお歴々がずらっと居並ぶ姿というのは文句なしに豪華。彌十郎さんが「今まで勘太郎!と言っていたけれど勘九郎になると呼び捨てしにくい」という話をされていて、わかるわかるーと思いました。皆様口を揃えて新勘九郎さんの芸熱心なところ、真面目なところに触れてらっしゃってて、お人柄だねえ〜と思ったり、でも染さまとかだったらもっとツッこんだこと言ったりするんだろうなとか思ったり(笑)でもほんと、ここに芝翫さまにいてほしかったなあ〜と思いますよね、うむ。

  • 鏡獅子

勘九郎襲名となったらぜひ鏡獅子をやってもらいたい、と思っていたので見る前からちょっともう感無量な状態(笑)そしてむだに緊張した!俺が!なんだこの「お前も出るつもり症候群」!
いやしかし、以前ご兄弟の公演での芸談で、弥生は難しい、と勘九郎さんが仰ってたんだけど、なんつーかどこにも開放感みたいなものと真逆の感じがあるんですね。うまい喩えじゃないんだけど、ずっとベース弾いてるみたいな感じ。内に内に入っていくというか。そういう意味でも今の勘九郎さんにはまっているのは後シテの獅子のほうなんだろうなあなんて思ったりしました。文句なくすばらしい、あの跳躍、あのキレ。これからきっと折に触れ手がけていく演目だと思いますので、その過程を一緒に楽しめたらいいなと思います。

  • ぢいさんばあさん

以前は仁左衛門さんと玉三郎さんのコンビで見ましたが、今回は福助さんと三津五郎さん。るんと福助さんのイメージがちょっと遠かったんだけど(福助さんにはどうしても婀娜っぽい役をイメージしてしまう)、でも老け役のときとかこう言ってはなんですけど意外によかった!玉さまの時余りにも老けメイクが本気すぎて表情がよくわかんない!とか思ったりしたんですけど、かわいらしい面影が福助さんのるんにはどこか覗く感じもあってよかったです。あと下嶋の橋之助さんがそれはそれははまってらっしゃいました、筋書でのコメントによればご本人もお好きな役とのこと。なるほどなるほど。