「ウェルカム・ニッポン」大人計画

大人計画フルメンバー(猫背さんお休みですが)で松尾さんの新作。パンフレットがものすごく気合いの入った出来で、読み応えあります。個人的におすすめ。つーか、しりあがり寿さんの描く劇団員の似顔絵がすばらしすぎて!

以下畳みます!

今回、大人計画フルスペックである、ということよりも、そこに外国人を主役に据えている、というのがいろんな意味でハードルをあげているなと思ったところでした。パンフで松尾さんが稽古のときの苦労とか少し話されてますけども、見る方としても、たとえば片言の日本語とか逆に流暢な英語とか(そのための字幕とか)っていうものを消化していかないといけない部分がどうしてもある。

個人的にはそのすり合わせもあって一幕はどうも焦点が合わないままだったなあというところもあったんですが、これが二幕になっていきなり猛烈なボールがどんどん投げ込まれていくのがすごい。ことに、エイドリアンが「こっち側の人間」*1であることが語られるあたりからが凄まじかったです。トンデモな設定の中で描かれる悪意、いや悪意でもない「ダメ」の連鎖の凄まじさ。紙ちゃんが終盤太一郎の母親に言い放つ台詞の切れ味たるや!

それらが、もう笑いすぎて口が閉まらないよ!というほどの笑いの中に放り込まれているのがさすがというか。個人的には今回、何しろ池津祥子さんにしてやられました。池津さんのタフネスはやっぱり格が違うという気さえするかっさらいぶり。あと、あの朝丸指導の演劇部稽古にも腹抱えて笑いましたよ…!

オープニングで全員がずらっと並んだ時にも思ったけど、もう大人計画ってそのものが「メジャー」(って言う言い方もセンスなさすぎていやんですけど)なんだなあと実感したというか、ほんと、これだけでもうすでに豪華だな、って思いますもんね。今や、演劇知らないけど、阿部さんや宮藤さんの出てる劇団だから見よう、って選択肢が決して珍しいものではないんだなあってことも客席の雰囲気からひしひしと感じたりしました。でも、松尾さんはやっぱり「決してテレビでは見られないもの」をきっちり渡してくれるなっていう、そのことがちょびっと嬉しかったりして。

*1:つまり、どうにもこうにも「ダメ」