「小笠原諸礼忠孝 通し狂言 小笠原騒動」

初見です。通しということもあってわかりやすく(テンポもよく)楽しめました!主な役所をそれぞれか兼ねてらっしゃるので、最初のうちは筋書の人物相関図をチラ見したりしておりましたけれども頭に入ってからはがっつりのっかって見ることが出来ましたです。

三幕の岡田良助住家の場が、仮名手本忠臣蔵の六段目もかくやというか、まあああもううう陰々滅々たる展開になる話だったので、大詰めの立ち回りで観客の気持ちをぱあっと晴れさせてくれる、というのもよかったです。しかしあの子役の健気さ…!子役にめっぽう強い私ですらいじらしさに胸が詰まるわアレ。

そこからの橋之助さんと小平次の本水を使った立ち回り、待ってましたの勘三郎さん登場と、後半胸をすく展開が続くのがよかった!お大の方の最後もきりっとしていて、滅びゆく悪の美にぐっときました。

勘九郎さんは諸悪の根源である犬神兵部と、その真逆の立場である飛脚小平次をやっているのですが、小平次としての出の場面、すれ違いざまに岡田良助の小袖をとるところからしてかっこよく(贔屓目)、兵部は兵部で大詰めでまさに大車輪の活躍ぶり。今回私花道脇でしかもちょうどすっぽんの横だったので、勘九郎さんが花道にくるたびに足の爪とか足の裏とか凝視するキモいヲタでまじすいませんって感じでしたが、いやいやもう真下から見上げてもどっからどう見ても男前でほんとうにありがとうございました。梯子の上での見得のとき、今勘ちゃんが刀を落としたら多分それは私の頭に当たってしぬ!というような距離感でしたがそんなあれこれも含めて幸せでしたとも、ええ!