「六代目中村勘九郎襲名披露九月大歌舞伎 夜の部」

  • 松竹座 1階1列11番
  • 女暫

初見。そしてここでも源平!自分が大河の「清盛」にはまっているというのもあるんですが、意識してみると歌舞伎の舞台ってどんだけ源平にまみれているのでしょう。清水冠者義高って天日坊でも出てきましたよね。
それはさておき、玉三郎さん演じる巴御前のつらねは聞き応えがありましたし、そしてなんと言っても舞台番とのやりとり!なんだあのかわいさ。舞台番をやった勘九郎さんの「ああたよくご存知じゃないですか!」とか、ちらちら舞台番のほうをいたずらっ子のように盗み見ながら六方を習うところとか、女子のかわいさってこれか!女子じゃないけど!と悶絶しました。かと思えば去り際のぐっと見得をきって見せるときの威厳。さすがっす。

  • 口上

ご挨拶は玉三郎さん。扇雀さんの「小さい頃中村屋ご兄弟から『いか兄、いか兄』と呼ばれていた、きっと『いかした兄さん』のことだと思います、やさしい兄弟です」って仰りながらちょっと笑ってたのが面白かったです。ほんとはどういう意味なんだろう…w
勘九郎さんのご挨拶は定型といえば定型なんですけど、非常に真摯でよかったです。あと余りにも私の席の真っ正面過ぎて私に向かって挨拶してる…!みたいな勘違いも余裕でした。いつみても姿勢が美しいお方!

  • 雨乞狐

勘九郎さん贔屓にとっては楽しみと同時に構えないではいられない演目。しかしこの演目を襲名興行でおやりになる、というのは勘九郎さんにとってもこれがひとつの乗り越えないといけない壁のようなものなのかなーと思ったり。もちろん最後に「勘九郎狐」の名前をもらうところは襲名にぴったりですしね。
7年前に歌舞伎座で拝見したときも小野道風がすごくいいなーと思ったんですが、今回ますますしっとりした色気とたおやかさに満ちていてもううっとりなんてもんじゃなかったヨ!ガン見だよガン見!最後再び野狐となって登場してからの一気呵成感はほんとに昂揚してしまいます。あの花道での海老反り、花脇のお客さんの顔をちらっ、ちらっと見て微笑む余裕まであるっつーんだからもう。あの席羨ましすぎる!
勘九郎さんの魅力はいろいろあるけど、私のなかで一番最初にくるのはこの身体性なのかなーなんて思ったり。ほんとに身体で語ることができる役者さんですよねえ。

  • 雁のたより

お殿様が愛妾を連れて有馬に湯治、けれどそのお妾さんは髪結いに一目惚れして…というお話。薪車さんの、もうそのままどこに出しても恥ずかしくない行ききったバカ殿ぶりが観客の心をくすぐるくすぐる。翫雀さん扇雀さんのならびも見られて嬉しかったです(ご兄弟でありながら扇雀さんを圧倒的に中村屋さんの舞台で拝見することが多いわたし…)。そして司をやった壱太郎くんの可憐さにびっくりしましたよ!えーっ!いつのまにこんな大人に!もはや可愛いだけじゃなく色っぽさまであるよ!えー!えー!(驚きすぎ)いやーこの先の成長が楽しみでやんすね…!