「中村勘太郎改め六代目中村勘九郎襲名披露第四十八回吉例顔見世 夜の部」

まさに大歌舞伎!という顔合わせ。そして大河にずっぱまっている私にはなんというかタイムリーな話でもあり。というか、いかに源平から題材をとった話が多いかってことだよねえ。それだけ日本人の物語欲を刺激する題材が多いってことなんだよね。

まるで「安宅の関」そのまんまの、虎蔵を打て、いやいやそれだけは、なやりとりもあったりして、けれど鬼三太はここで虎蔵(実は牛若丸)を打てないあたりは安宅の関とは違うところ。皆鶴姫の時蔵さんとのやりとりがちょっと和やかな感じなのもよかったなー。お三方揃い踏みでの見得はほんと絵になるったらない!

  • 口上

菊五郎さんの仕切りで。なんというか、朗々、という感じの第一声に思わずぽわー。良い声だよねえ菊五郎さん…。菊之助さんが、勘九郎さんとも七之助さんともこれからどんどん共演できる機会があるとうれしい、と仰っていて私もそれを心底望んでいますヨ!と首を縦にふりまくり。そして、口上のご挨拶が楽しいことで定評のある左團次さんは「襲名のときにはそれぞれの家に挨拶に行くのが慣わしですが、勘九郎さんも私の家に来てくれました。しかし折悪しく私がちょうど留守で、それが二度三度と続き…きっと心中『あのジジイ、いつ行ってもいねえ』と思ってらっしゃったのでしょう、その証拠に今まで襲名興行に呼んで頂けませんでした(笑)」頭を下げた姿勢のまま(ちがうちがう)と笑いをかみ殺して首をふる勘九郎さんカワユスでしたw

「道行初音旅」「川連法眼館」を狐忠信に勘九郎さん、静を七之助さん、義経菊之助さんという若い座組で。道行、わたし今まで見たことあった、と、思うんだけどこんなに前のめり(気持ちが)で見た道行は初めてじゃい!というぐらいもう勘九郎さんにクギヅケであった。なんだあのかっこよさ…!ほんとこの人の所作事は私のテンションをうなぎ上りにさせるぜ!もうなんならずっと吉野の山の中でもいいよとか思うほどだった(それはどうか)。写真、この忠信の写真をわたしにくだされ〜!なぜに御園座では舞台写真が売ってないのか〜!(地団駄)

川連法眼館でも、忠信がすっごいよかったなーと思いました。いやほんとに同じ顔なのに別のひと、というのがオーラとして伝わってくるような。狐のあの甲高い声はおおお、がんばれ、と手に汗握るところもありましたが、動きはほんっっとに躍動感に満ちていて素晴らしい。そしてかわいらしい。おまえ、ちょっとあざといよ!と思うほどにかわいらしかったですウフフフ。

七之助くんの静御前、鼓を打って呼び戻そうとすると鼓が鳴らない、「これほどまでに…」と涙に暮れるところとかぐっとこっちの感情を惹きつけてくれてました。あそこだけでちょっと泣きそうになっちったもんね。

それにしてもやっぱり四の切はよく出来てるんだなあ〜、たくさんの人がこの演目をかけたくなるのもよくわかる。そうそう、亀博のときに実際に舞台に上がらせていただいたので、あそこがこうなってるんだなーとか想像しながら見るのもまた愉し、でした。