今週の清盛

第46回「頼朝挙兵」または「復讐するは我にあり」。
いやー…
いやいやいや。
前半割とツッコミながら見てたんですけどね。ちょっと!頼政のシーンはしょりすぎ!とか。このドラマかなり本気で愛してるけど戦闘シーンの書きぶりというか描きぶりはちょっとモニョるよなあとか。えっ以仁さまそんなあっさり退場でいいの?とか。ごっしーマジ一瞬じゃねえかとか。
けどもう、なんかもう、最後で吹っ飛んでしまったよ。

「すべてを手に入れて復讐するのだ」と清盛は言った。誰に?捕らえられた西光が吐き捨てるようにぶつけた言葉が呪いの鎖のようにまとわりつく。お前の国造りは志ではない、ただの復讐だ。
復讐だったのか?そうじゃないだろう。そうじゃなかったはずだ。そうじゃない清盛を私たちはずっと見てきたはずだった。いつからだ、あんなにも底の見えない真っ暗な目をするようになったのは。西行が若き日の自分たちの言葉を問いかけるときの、顔の見えない清盛の長い長いショット。いつからだ、清盛の顔を見ることが出来なくなったのは。

ここからの眺めは真っ暗だ、という清盛の言葉が胸に刺さる。頂に立つってこういうことなのか。盛者必衰の理をあらはす、というあの平家物語の有名すぎる冒頭が頭をかすめた。自分を追い落とすかもしれないものこそが、自分の道を照らす存在になるかなしさ。

もしそうだとしたら、そうだったのだとしたら、だからこそ平家は滅んだのだなあとおもう。

松山ケンイチくんの芝居がもう、おそろしくて、おそろしすぎて、差し挟まれる若き日の清盛とあまりにも別人すぎて、ここまできてしまったと改めて思わされる。子供のように泣いていたな、清盛。

そして残すところあと4回。宿命の跫音が近づいています。ひたひたと、近づいています。