「100万回生きたねこ」

佐野洋子さんの有名な絵本をミュージカル化。イスラエルの演出家(だけでなく美術や衣装も)と新しいミュージカルを立ち上げるという試み。しかし、ミュージカル、というよりも音楽劇、といったほうがしっくりくる作品ではあったかな。いやもっというと、演出の方の来歴に明るくないのでとんちんかんな事を言っていたら恥ずかしいのですが、舞踊劇、という感じもあったというか。

なので、「そりゃ森山未來を使うはずだよ」と思わされるシーンが沢山あって、それとも未來くんだからここまで身体性が要求されるつくりになったのかな?卵が先か鶏が先かみたいな話ですけど、未來くんの「動く身体」としての素晴らしさを十二分に堪能できた感じがします。

あとこれ、舞台が八百屋になってますよね…?二階から見ていたのでどのぐらいの傾斜かいまいちわからなかったんですけど、役者さんはかなり大変だろうなあと。そして舞台美術はもう隅から隅まで美しかった…あの遠近法を極端に見せるような形もそうですけど、影の見せ方や出ハケの仕掛けまで、それを見ているだけでも飽きない。舞台美術の写真集があったら欲しいぐらい。

こちらは絵本が原作なので当然と言えば当然かもしれませんが、童話の世界をのぞき見ているような感覚だったのは「音のいない世界で」も共通したところがあるなあと思いました。生演奏もすてきだったなー。

主役のおふたりはもちろんキュートだし、藤木孝さんや銀粉蝶さん、今井朋彦さんといった手練れのキャストを贅沢に使っていて、スキのない作品だなあという感じでした。そうそう、楽曲の歌詞を手がけたのは友部正人さんだそうで、そのあたりもスキがない!