「レミング 〜世界の涯までつれてって〜」

東京公演はパルコで上演されていたので、キャパから連想すると名古屋では名鉄ホールぐらいかしら、と思っていたらまさかの中日劇場っていう。名古屋で一日限りの上演だからなのか、地元名古屋の天野天街さんが上演台本で参加しているからなのか、ともかく約1500席が満席ってスゴイな。

考えるな、感じろ、じゃないけど、理詰めでどうこうなる芝居ではないというのは間違いないだろうなと思っていたので、人が見ている夢をのぞき見してる感じかな〜などと思っていたのですが、そういえば夢の遊眠社もそういうところがあったなと(今の野田さんからはちょっと遠いけれど)。「壁」がなくなって、世界のあらゆるものの境界線が危うくなる。その境界線のあやうさの中に、患者と医者のシーンがあるんですが、こういう構図は第三舞台でも観た!という感覚があって、先人の影響力の凄さをあらためて思い知りましたね。

自由になるんだ、と告げて出て行こうとする次郎に「駅から出る列車に乗っても自由には辿り着かない」って太郎が言い放つところよかったなー。あと母親と太郎のやりとりはどれも素晴らしかった。八嶋さんさすがのうまさなんだけど、片桐さんも意味わからないけどとにかく突き抜けたパワーがあるので、この役は逆でも見てみたい気も。

演出が松本雄吉さんなので、黒衣の群舞や群読の見せ方なんかは絵として見てもすごく構図がかっこいいんですよね。ただやっぱり野外劇の印象が強いので、これをだだっぴろい野外で、もっと大量のモブで見せたらまったく違う劇的効果があるんだろうなあなんて想像してしまったりもしました。