あまちゃん!東京編、いよいよ!

初っぱなから浮いたり沈んだり、東京編になってますます加速、宮藤脚本の本領発揮でしょうか。週末出かけちゃうとなかなか感想書けないのが残念。動きの激しい2週間、主な登場人物別で感想めいたものを書いてみたよ!

  • 天野アキ

のっけからの「かわいい方?」との問いかけにNOと答え続ける試練からスタートしたアキの東京ライフ。慰めてもらおうと思って出かけた世田谷の実家にはあまちゃん史上最短の出演時間で最大瞬間風速を叩き出した大久保佳代子扮する父の恋人が鎮座し、いじめっ子の同級生にはチョーシ乗ってんじゃねえよ!とステレオタイプにもほどがある捨て台詞を背中に受けて満身創痍。けれど負けない北三陸魂、「海女のアキちゃんこと天野アキです」と同じこと2回言ったようにしか聞こえない自己紹介でGMTの仲間入り。落ち武者安部ちゃんを心の友に、ネガティブ種市先輩に喝を入れ、世間知らずと前向きすぎるパワーという「あっそういえば朝ドラのヒロインて通常こういうキャラだった」という立ち位置にようやく立った主人公、いつもなら敬遠する視聴者もすっかり親心満開の見守り気分で宮藤官九郎の手のひらの上。寿司とウニ、寿司とウニに次ぐ寿司とウニで大物相手にビクともせず、鈴鹿ひろ美をも手玉にとるアキ。国民投票の結果や如何、勉さん数えて震えて待て!

  • 足立ユイ

三陸編のラストの悲痛な叫びで全国民の涙を絞り取ったかどうかはともかく、夢の切符を握りしめその前に立ちはだかる壁また壁の高さにうちひしがれるしかない美少女。大丈夫の連呼や「CATCH YOUR DREAM☆YUI」という言葉の薄っぺらさに漂う不安そのままに、母の失踪という非常事態で「はい積んだ!君の人生今積んだよ!」と声が聞こえたのかどうなのか、わかりやすい脱色にわかりやすいだっさいパーカー、わかりやすい小太りの男の腕を組んでわかりやすく万引きなどして転落というよりこれむしろ落下です本当にありがとうございました。そんなやさぐれユイちゃんの心に一発ビンタをかましたあとにギュッと抱きしめるというヤンキー秘伝の術をもたらして彼女の心に触れてみせた春子さんの偉大さよ。果たして東京に来るのか来ないのか、アイドルになるのかならないのか、笑顔を取り戻した足立ユイの明日はどっちだ!

ほのぼの北三陸からギスギス東京編のスタートに心が折れかかった視聴者に、待て待て俺がいるではないかと言ったか言わずか、ワイシャツをアウトで着てみせるばかりか脱ぐシーンまでばっちりお届け、文字通り身体を張ってのサービスを本当にありがとう。じぇっく?とか言って照れてみせるとか「俺は見捨てないから」と熱い台詞を吐いたあとで「うっとうしいなあ」(ニヤニヤ)とか、ここに、伝説の、女子殺しがいる…!と震撼した次第です。ちなみに女子と書いておなごと読んで下さい。おなご殺すにゃ刃物はいらぬ、ミズタクのデレがあればよい。昔の人はいいこと言いました。のみならずあんなに邪険にした勉さんの琥珀をさりげに磨くとか、太巻とのシーンでは「奈落にいた頃が一番たのしかったよなあ!」などと「えっそんなに長い付き合いなのふたり!」と発酵要素を振りまくのも忘れない、お前の完璧さ、もはやこわい。つらいときには心ないにもほどがある「なりたりなー」の合いの手に癒しを求めてしまう今日この頃です。

秋元康かはたまたジャニー喜多川か、あの古田新太がやる以上一筋縄でいかないのはもはや折り込み済み。25年前の回想シーンから老けてる太巻。トシちゃんのバックで踊ってた太巻。レモンスカッシュをレスカと言ってしまう太巻。事務所のホワイトボードには「巻かれて巻かれて強くなる」「太いものには巻かれろ」まではともかく「巻かれて太れ」「巻かれなければ太くなれない」など、もはや巻かれなくていいです!と言いたくなるほどの太巻推し。ダンサー出身だけあって曲先でも詞先でもない「振り先」という独自路線でヒット曲を連発するすご腕だが、その曲名が涙目センプテンバー、暦の上ではディセンバー、ペンフレンドはバンクーバー。お前はバーのなんなんだよお!一介の古田ファンとして言わせてもらえば踊る古田に斬る古田、スーツの古田にメガネの古田、盆と正月とクリスマスとハロウィンがいっぺんに来たかのようなわけのわからないお祭り感に宮藤官九郎に足を向けて寝られません。鈴鹿ひろ美と長い付き合いを匂わせる一方、天野春子の名前に異様なる動揺を隠しきれない彼の過去にいったい何が。この因縁が吉と出るのか凶と出るのか、刮目して待て!

  • GMT6

各地方から選抜されてきたそれぞれの地元っ子たち、アキと同じく最初は不安だった視聴者も、寮での最初の朝食を皆が地方名物満載で作っていたことに言いしれぬ安堵を覚えたのではなかろうか。あの美味しそうな朝食の「この子達信頼できる」感の効果たるや。ギスギス感よりも「皆で這い上がろうね」と連帯感を前面に見せてくれているのがありがたい。佐賀出身の経歴詐称や(道理で佐賀ことば指導に樋渡真司さんが…!謎はすべて解けた!)沖縄リズムで刻むgdgdラップ、地方出身有名人の取り合いなども微笑ましい。ところであの寮のお菓子入れは誰が提供しているのか。誰か駄菓子屋の娘でもいるのかと思うようなバリエーション、楽しませてもらってます。個人的には埼玉出身のリーダー入間しおりを演じる松岡茉優の「ナチュラルボーンそういう人」に見えっぷりに毎回感心。いろんな意味で是非天下を取ってほしい。そして待ち受ける国民投票、予告で20位に呼ばれたのはいったい誰なのか、気になる気になる気になる木!

弥生さんの前歯が取れたりかつ枝さんが妊娠したり(猫だけど)美寿々さんにインターナショナルな恋人ができたりと北三陸は今日も元気だごはんがうまい。しかしながら足立夫人の失踪に「もともとこっちの人間じゃない」「最近のヨメは根性がない」とどす黒いどころか本当は怖い地方コミュニティ的な面もふんだんにもれてきています。そんな中、北鉄のユイちゃんを心から愛する大人たちの腫れ物さわるっぷりに超絶ダメ出しをする春子さんの貫禄よ。大吉・菅原・吉田・勉さんの梨明日に根が生えてんじゃないかカルテットが、しかし「慰めるなら今だよ」と春子さんのゴーサイン後に、とはいえ何をしていいのかわからず、そっとあばずれの食べ物ナポリタンにチーズをかけてあげるところは東京編屈指の名場面だったのではないでしょうか。まさに、その優しさに用がある。

  • 東京編の人々

東京編初日、こんなにも1人の人間の株が15分で乱高下することがあるのかということを実感させたのがこの人。1分1秒浮気じゃないとはいえその動き早すぎだろ!と総ツッコミを受けた正宗パパ、お相手が大久保さんというのがなんともいえないリアリティ。かと思えば憧れの種市先輩はスカイツリーの高さの前にあえなく挫折、これまたわかりやすくやさぐれているあたりがユイちゃんと実はお似合いなのかもしれません。心機一転無頼鮨でがんばっておくれ。とりあえずはちまきは似合ってる。鈴鹿ひろ美のスレてないっぷりと演じる薬師丸ひろ子さんの安定の美しさ、そして宮藤脚本との親和性に完全に大船に乗った気分。いつもお寿司をありがとうございます(アキの代わりに礼)。現在のところちょい出しの回想に出てくる喫茶アイドルのマスター甲斐ちゃんこと松尾さん、メルマガによれば松尾さんのキャスティングが決まってからは徐々にギャグも増えていっているとのこと、今後に期待大ですネ!そして松尾さんが出てきたことでいよいよ豪華な本多劇場総力戦の構えです。来週予告にはこれまた本多劇場の常連、東京乾電池の刺客ベンガルの姿も。NHKの朝が本多劇場で埋まる日も近い!かもしれない!