あまちゃん!東京編まっただ中!

このあまちゃん感想、毎回毎回スタイルが定まらなくて申し訳ない。って誰に謝ってるのか。試行錯誤したまま終わりを迎えそうな気が…うっ(終わりと思うと悲しくなる病気)。今回は第15週&16週の個人的名場面ベスト3!と、おまけ!

★第88回
国民投票の開票速報とアキの女優デビューが交錯して描かれた回。ここで2人奈落に残った喜屋武ちゃんとしおりん、そして38位に喜屋武ちゃんの名前が呼ばれる。顔を見合わせるふたり。喜屋武ちゃんは最初にごめんね、といいしおりんは笑顔でなんくるないさ、と返す。喜屋武ちゃんは自分が呼ばれた喜びよりも残していくリーダーを気遣うし、リーダーは気遣われまいと必死にふるまう。水口だったら「女子特有の鬱陶しいノリ」とか言われてしまいそうな場面ですけど、もう百発百中ここで涙ぐむ私ですよ。これふたりがうまいっていうのもあるんだろうなあ。やりようによっては嘘くさい場面になるかもしれないところ、女の子の必死さ、ギリギリの矜持がせつなくてほんと名場面。そのあと、PCの画面に発表を待つしおりんの表情がかすかに映るのもいい。そんでもうひとつつけ加えると、毎週土曜日にNHKの公式サイトにUPされる「あらすじ」、あれでアキが落ちることはもう書かれていて、えっそんな肝のとこばらしちゃうのか、って思ったけど実際の放送を見ればわかる、アキが落ちるかどうかはこの回の肝ではない(むしろアキは落ちるテイで描かれてる、ずっと)。それを読んでいたから、逆にしおりんは40位以内に入るものだと思っていたので、このシーン余計ずがんときたというのもありました。あともうひとつ忘れちゃいけない、荷物を持って去ろうとするしおりんを「しおり!」と呼び止め、待て、行くなとぐっと引き戻す水口のやりようったら…あいつほんと…(無言)。

★第93回
もろもろ落ち込んで東京いやだいやだモラトリアムに罹っていたアキを水口が連れ戻しにくる場面。のっけからの「なぜ出ない電話に君は。出て!出なかったらすぐ折り返して!」という先制パンチもさながら、そのあとの怒涛の攻撃たるや。そこでちょうど「遠洋いやいやだモラトリアム」に罹っていた忠兵衛さんと組合長の会話がアキと水口の会話と交錯するところ、ちょう舞台っぽい!と勝手に興奮しました。そしてあの留守電。個人的には留守電の「ここ数日君のことを考えている」よりも「やだ。」の破壊力と「そんな見るなよ」にぼへええええええええとなったクチです。ぼへええええってなんだ。もうよくわかりません。そしてGMTの面々の言葉、大将の無言、安部ちゃんの日常、それらがいっぺんに押し寄せてくる。これで帰らなかったらアキ、てめえ男じゃねえ!いやもともと男じゃないが!となるのもむべなるかな。最終的には「もう少しだったのに」とうすら黒いところを見せる水口も嫌いじゃないどころかむしろ大好物です。

★第94回
第91回で強烈な衝突を見せたアキとユイ。あの回でのアキの啖呵「ダサいくらいなんだよ我慢しろよ!」はまさに名台詞だし、ダサイっていう否定の言葉を万能のように使う人間に対するあれほど強烈なカウンターはないと思う。そのあとの「アキちゃんを傷つけちゃった」というユイちゃんの台詞も泣かせる。でも、個人的にはやっぱりふたりの和解の場面が好きです。完全に醒めた、だってダサイじゃん、と誰よりも自分に言い聞かせてきたユイちゃんがはじめて「醒めたんじゃなくて諦めた」と言う。その代わり見てるから。アキに、自分のために歌ったり踊ったりできない?と聞く。私は見てるから。やってだめなら、また帰ってきなよ。ユイちゃんがアキに持ってきたのはサイン色紙で、それはかつて2人が出会ったばかりの頃、秋祭りで御輿に乗ったユイちゃんに元気をもらったアキが、記念に書いてほしいと頼んだあのシーンの反転した姿だ。あのときも頼んでおきながらアキは「あるんだ」と笑った。ユイも同じように「あるんだ」と笑う。「ずっと見ている」者がアキからユイに逆転した、その転換点をこうまで鮮やかに見せられては泣くほかありません。そしてふたりが自転車で坂を駆け下りて行く場面。あのときユイちゃんはアキになんて言ったのだろう。それはふたりだけの秘密なのでしょうか。

さて以下はどうでもいいおまけなので畳む!
この間見たシベリア少女鉄道「遙か遠く同じ空の下で君に贈る声援」では(もう公演が終わったので書いちゃいますが)競馬が隠しテーマというか、ネタになっていて、そのネーミングを見ているうちになんとなくあまちゃんメンバーの馬名を考えてしまうっていう…ほんと!どうでも!いい!以下刺身のツマ程度ということでお願いします!

◎アキインザスカイ
地方から中央に殴り込みをかける期待の新馬。もの怖じしない性格で先輩格にもガンガンに攻めてくる姿勢を買われての中央デビューとなったが、もの怖じしない性格だけがクローズアップされ今のところなかなか芽が出ない。抜擢されたレースにおいて40回もゲートインに失敗したことはもはや伝説。先日行われたJRA(Japan Racing Amachan)人気投票では圏外の42位という結果に終わった。しかしながらいつの間にか懐に潜り込むレーススタイルと勝っても負けてもすがすがしい愛嬌で徐々にファンを増やしており、「この子の可愛さを知っているのは俺だけ」もとい「この馬の良さを知っているのは俺だけ」的な愛され方をしているのも特徴。キャッチコピーは「ダサいくらいなんだ!楽しいからやってんだ!」

◎フトマキテイオー
抜群の強さと安定感で中央に君臨し続ける、その名の通りまさに帝王。ドラマチックなレース展開を好み自らドラマを演出していくレース運びはこの馬の好き嫌いが別れるところ。体重の増減が激しいことが悩みどころである一方、重馬場の鬼とも言われ悪路であればあるほど地力を発揮するしぶとさも魅力。一方、地方競馬で名を馳せた「アマノハルコ」と過去に因縁があるらしく、この名を聞くだけで騎手を放りだして放馬となった逸話も持つ。キャッチコピーは「鬼は鬼でも気さくな鬼」。

◎ミズグチインパク
やる気があるんだかないんだかわからない茫洋とした佇まいからは到底予測不能な鮮やかな差し足で中央に颯爽とデビュー。そのあまりのツンデレぶりにお茶の間もとい府中のメインスタンドが揺れたとか揺れないとか。かと思えば眠気に負けてレース途中でやる気を失うこともあり、文字通りファンの心をもてあそんでいる。本気になったミズグチには誰も勝てないと言われつつも、もしかしたらまだ本気を出していないのではと見る向きもあり、そのポテンシャルははかりしれない。キャッチコピーは「おなご殺しのミズタク」。

◎ユイセイコー
地方馬でありながらそのポテンシャルはアキインザスカイを遙かに凌ぐと言われ期待を一身に背負っていたが、中央進出を前に様々な障害に阻まれ、あえなく挫折。アイドル馬として順風満帆な人生を送っていただけにその傷は深い。馬なのに人生とはこれいかに。荒れたレースが続いたが、最近ようやく立ち直りを見せはじめ周囲を喜ばせている。キラキラしたものに惹かれる性質があるためレース中の光り物は御法度。キャッチコピーは「ずっと見てるから!」


…ほんと、そのうち怒られるよ!