あまちゃん!今週の男前!と、今週の雑誌まとめ!

もう毎回スタイルが違うことに段々開き直ってきました。思いつきだけで生きてます。第100回をまたいだ第17週、今回は「今週の男前」というミもフタもないテイでお送りしまっす!まずはなんと言ってもこの人!

★黒川正宗
春子さんが太巻に鈴鹿ひろ美の影武者を頼まれる、その現場に居合わせたタクシー運転手こそが若き日の正宗だった!ということで、その若き日の2人の出会いがとうとう語られたわけですが、あの「純喫茶アイドル」での正宗さんの必死の告白、いやもう必死すぎて告白というより訴えでしたが、あれはどうやったってきゅんとくる。君を待ってるたったひとりがいる、ということをあんなにも愛とユーモアに溢れた台詞で書ける宮藤さんすごい。個人的には「聞いた聞いた聞いた」の畳み掛けと、「日本全国のドライバーがあなたの歌声を聞いて癒されて、安全運転を心がけるから事故が減る!あなたの歌声にはそういう力があるんですよ!」という壮大すぎる展開をみせるのが好きなところです。そのあと自分の両親を「かっけーよ!」と讃えるアキに、主人公の風格を見た思いでした。

★足立ヒロシ
物産展のために東京にやってきた足立・ストーブ・ヒロシ。まさかの種市登場とまさかの鮨屋の距離の近さに「近くない?ねえ近くない?」と動揺するさまは確かにあの「北三陸のストーブさん」そのまんまなのだが、なんといってもあの上野駅でのアキとの別れのシーンだよ!思わず両手でぐっと思いを託すようにアキの手を握ってしまうシーン、あれがアップで撮られてないところも個人的にはぐっときます。そして大吉さんが春子さんをずっと待っていたように、俺も君をずっと待ってる。うーわー!その前に正宗さんから春子さんへの「ファン第1号」発言があっただけに、かつてアキのことを、「俺が、ファン第1号っすから!」と叫んだヒロシの姿がオーバーラップするではないの!そしてアキは、そのヒロシのまっすぐな気持ちに打たれたからなのか、お母さんを東京で見かけたことをとうとう口にしてしまう。アキの気持ちはわかるけれど、しかしそれは自分の重荷をヒロシに渡した、という行為でもあるわけだ。しかしそのアキにヒロシはこう言う。「ありがとう。聞かなかったことにするわ」。これ以上完璧な答えある!?重荷を渡されたけど重荷じゃないふりをするよ、だから君も気にすんな、ということを彼はここで伝えきっているわけです。ヒロシあんた、どんだけ男前なんや…!

荒巻太一
正直に告白しますと、太巻のシーンだけちょうリピートしている私です。すいません。ほんとすいません。ストーリー上は私情でアキの道に立ちはだかるカタキ役の立ち位置ではありますが、あの対水口への台詞回し、高笑い、「あ?」という短いリアクションだけで震え上がらせる迫力、もっと!もっとちょうだい!みたいな気持ちになったことをここに告白いたします。「お前何言ってんの?」からの「抱き合わせにしたんだろうが!」この「だろうが!」のちょっと舌巻いてるあの感じ!そこからの「全部運なんだよ!」これですよ、古田新太が舞台でも十八番とする立ち位置これですよ!こういう古田の芝居をテレビで観られるなんてほんと宮藤さん…ありがたすぎてマジで足を向けて寝られません。そしてあの鈴鹿オリジナルで水口を追いつめる太巻!あんなに高笑いが腹の底からうまい人他にいる?いやいない!まさに第六天魔王ここにありだよおお!(興奮)それにかぶさる「超がばいよぉ!」「がばいの使い方間違ってるだろ」まで含めてほんとに何度でも美味しくいただいています!


さて!おまけというかおまけにしては長すぎて辟易しますが、先週から今週にかけて「あまちゃん」特集を前面に出した雑誌が3誌立て続けに発売されました。どれもかなりの売れ行き(「風とロック」は捌け具合)だそうで、あまちゃん効果すごいね!いちおうどれも入手できましたので、それぞれの特集こんな感じだよ的な。あと印象に残った部分ちびっと(なお以下斜字体部分の著作権はそれぞれの著作者に帰します)。

AERA
№31(2013.7.22)号、表紙は能年ちゃん。カラー全8ページの特集で、キャストと宮藤さんのインタビューで構成。写真としては公式なものばかりなんだけど、あの海女クラブで撮った写真がどーん!と1ページあるのは嬉しいかも。インタビューされているのは能年玲奈宮本信子薬師丸ひろ子杉本哲太尾美としのり荒川良々小池徹平有村架純福士蒼汰、そして宮藤官九郎。宮藤さんのインタビューは見開きで読み応えあります。量的にはさほどでもないけれど、その分ぎゅっと凝縮しているというか。ちょうど全話の脚本を書き上げたあとに聞いているので、そういう意味でもまとまったインタビューだなーと思いました。キャストの中では、宮本信子さんと荒川良々さんのがとくに印象的だったかな。これもちょうど撮影の山場に入る前、というあたりで聞いているので、キャストそれぞれの「これから」への覚悟が伺える感じです。

「最近嬉しかったのは、88歳になる母が、夏が春子に謝るシーンを見て言ってくれたこと。幼い時から、結婚から芝居まで私のすべてを知り、縁の下の力持ちとして支えてきてくれた母は、芝居については滅多に言いません。なのにこう言ったのです。
『信子、ずいぶん上手に謝ったわね』」
AERA№31より宮本信子

「いま言えるのは、もし震災後から「あまちゃん」を書き始めても同じラストになっただろうなということです。同じように書いた、書けただろうと思う。
東北が舞台になった時点でやらないのはウソだし、それだけをやるのもウソだなと思っていたけれど、書き上がった今思うのは、どのみち、ドラマの終わり方は変わらなかったような気がする」
AERA№31より宮藤官九郎

★Cut
2013年8月号。表紙能年ちゃん。キャッチコピーは「『あまちゃん』が日本の朝を変えてしまった」で、いかにもロッキンオン発行の雑誌という感じですね。全34ページの特集で、NHKスタジオで撮影しているのであのセットにこんな能年ちゃんやあんな能年ちゃんが!的楽しさと、あと撮影風景だけを何点か載せてくれているのですが、バレには触れていないといいつつどういうシュチュエーションでこの写真なん!?と逆に気になるっていうね!インタビューは能年ちゃんと宮藤さん、そして短めではありますが演出の井上剛さんと制作統括の訓覇圭さんに話を聞いているのがある意味レアです。この時点で宮藤さんはまだ脚本を書き終えていないとのことなので、インタビューを受けた時期としては3誌の中で一番早いと思われます。あと、Cut編集部が語る「あまちゃんを愛してやまない15の理由」でミズタクのことを書いているのが井上貴子さんだったのはうむ、想定内!と思いました(笑)

「(視聴率が)そこそこってことはないだろうな、と思ってましたね。それは、町おこしの企画会議のシーンを書いた時かな。最初の『北三陸をなんとかすっぺ会議』のあのシーンを書いてる時に、『あ、これ、会議だけで15分いけるわ』と思って。で、ホワイトボードを消されて『ああ〜、まだ書いてない』っていうあの『ビートたけしの学問ノススメ』でのえりさんの台詞を入れたあたりかな。『あ、これ、そこそこの数字っていうことはないな』って思って。すんごい良いか、すんごい悪いか、どっちかだろうなと』
cut8月号より宮藤官九郎

「こんなことやったらみんなびっくりするだろう、って感じじゃないんですよ。たとえば、台詞の字幕入れてたじゃないですか。ああいうのも決して誇張じゃないんです。『字幕入れたら面白いでしょ?』って感じじゃなくて、『お年寄りにわからないかと思って字幕入れたんですけど』みたいな」
cut8月号より宮藤官九郎

あまちゃんにいっぱい入ってくるような80年代ネタを懐かしく思う人が、あの時間にテレビを観ている人の中で意外に多いのかもしれないし。朝のあの時間がメジャーな枠だとしたら、どこまでが拒絶されて、どこまでがOKなのかっていうと…宮藤さんの面白さって『そりゃぼくらはわかるけどさあ』っていうものではないんじゃない?意外と実はこっちがマスなんじゃない?っていう気はしてたんです」
cut8月号より訓覇圭

風とロック
7月号。タワレコで無料で配布しているフリーペーパー(ペーパーの範囲は大いに逸脱しておりもう、ほぼ雑誌。っていうか雑誌)。どんなの?という方はこちらこちらをご参考に。無料配布なので号によってはあっという間に店頭から姿を消すのですが、今回もまさに、でしたね(私が頂いたのも名古屋パッセ店最後の一冊でした…)。これはなんといっても「北三陸鉄道特集」なので、どれもこれも写真がニッチなところ(北鉄の時刻表とかさ!)を押さえてるのが素晴らしい。インタビューは杉本哲太荒川良々木野花八木亜希子小池徹平渡辺えり福士蒼汰、美保純、大友良英、そして宮藤官九郎。それぞれインタビューの長さが違うのも個性が出ていて良いです。宮藤さんはもちろんロングインタビューですが、箭内さんと宮藤さんが普段から交流あるというのもあってなんとなく宮藤さんの開放度が一番高いような気がしました。最終話を書かれてしばらくしたあとのようなので、時系列ではこれが3誌の中で一番最近なのかもしれません。個人的には3誌の中で一番読んでて楽しかったですし、買えるもんなら買いたいやい!という方もすごくたくさんいるのではないかと思うんですけど、インタビューのうちネタバレに相当する部分を塗りつぶしてあることもあって、箭内さんが「大丈夫になり次第ホームページであげていきます」とインタビューの最後で言われているので、もしかしたらネットで全貌を読める日がくるかも!です!

箭内:意味を知りたがるっていうか、それがわからないと不安になる人っていますよね。
美保:そうね。
箭内:どういう意味なんですか?って。
美保:そういう人は、あの…プールから上がって、まだ耳に水が入ったままって気持ち悪いじゃない?
箭内:うん。
美保:そういう状態のまま人生終わればいいのよね(笑)
箭内:(笑)
美保:自分で振れよ!って。なんでいつもこうやってケンケンしないの?自分で出さないと水出ないんだよねーって思う。
風とロック7月号より美保純

宮藤:蟹江さんの台詞で『ここが一番いいところだって教えるために俺は世界中旅してんだ』とか思いついても、ちょっと恥ずかしくて書かなかったです、今までは。でも敢えて書いて送っちゃえ、みたいな(笑)
箭内:(笑)
宮藤:ちょっといいなって思ったりし始めましたね。でもやっぱり、その前後にはどうしたってそれが恥ずかしいから、なんかこう…保険をかけちゃうんですけど。フレディ・マーキューリーとかむしろ冒険なわけじゃないですか。僕からするとフレディ・マーキュリーが保険ですからね。
風とロック7月号より宮藤官九郎

箭内:時計が出てるじゃないですか、左上に。夜のドラマと違って。
宮藤:そうなんですよ。8時からね。
箭内:結局タイムコードが出てるみたいなもんで。だから8時13分から8時14分までの、あのたった1分半になんでこんなに情報がっていうかね、ストーリーだったり展開が入るもんなのかなって、すごい驚きますね。
宮藤:そうですね。まぁ8時7分ぐらい、どうせ大したことねぇだろうなって思うし(笑)、でも13分、14分でぐわっ!って行くじゃないですか。あれは…もしかしたらそれぞれのディレクターさんの中にもう、入ってるタイム感なのかもしれないですね。
箭内:入ってるんだ…
宮藤:ADからやってるから。知らない間にそういう風に刷り込まれているのかも。すごいなって思いましたね。
箭内:13分目の1分間がすごい長いですよね。ほんとに13分が長い。
風とロック7月号より宮藤官九郎