「鑑定士と顔のない依頼人」


私の今年の地味な目標のひとつが「映画館で映画を10本(10回ではない)以上見ること」、ということで今年の1本目です。伏見ミリオン座初めていったわー。1日1回の上映、しかも映画の日だったので満席だった。
しかし、展開に触れずに感想書くの難しい映画だねこれは、と思いつつ、でも見ていれば「この先、どうなるか」というのは大抵のひとには見える道筋なのじゃないのかなーという気もし。その展開自体はサプライズ要素なのではないんでしょうね。

徹頭徹尾鑑定士から見える世界、彼の世界の見方、で話が進んでいて、彼らの周囲の人間の「理屈」をはっきりとは描いていないところがすごいですね。居心地の悪さを感じないわけではないけど、その「見えなさ」もこの映画の面白さのひとつかなあなどと思いました。

しかし、最後に彼が思い浮かべるのが彼女と過ごした一夜というあたりが一番ずがーんときたところかもしれない。怒りでも恨みでもなく。なるほど、芸術と同じようにどんな感情も完璧に偽ることは出来る、けれどどんな贋物にも真実はある、というわけだ。