「スノーピアサー」


宮藤さんが11月頃の日記で、監督との対談のために一足先に見て、これすごいすごいと書かれてたのがすごく印象に残ってまして、というかその宮藤さんの日記読んだ後に公式で予告編見て、あーなんかこれ好きそう−(私が)って思ったんですよね。

雪と氷で死に絶えた世界の中、永久機関として設計されたある「列車」だけが凍結を免れ永遠に走り続けている。その列車の先頭車両は一部の富裕層で占められ、貧しいものは最後尾で人間らしくさえ扱ってもらえない。

まずなんといってもこの設定の魅力にはまるか、はまらないか、というのは1つの分かれ目なのかもしれないなーと思います。原作がフランスで出版されたコミックというのを聞いてそうだろうなーと思いましたが、すごく「小説的」なんですよね、設定が。この設定のアラを探すのはあまり意味のないことのように思うし、私はこの物語の寓話的な部分に何よりもずっぱまりました。

終盤にエド・ハリス演じるウィルフォードが丁寧に語るまでもなく、閉鎖された生態系、決められた場所に決められた個体がいて、その秩序は守られなければならない。これは世界であり人類である。つまるところ私たちもこの列車に乗っている。自分が何を搾取し、または搾取され、何を食べているかも、もしかしたら知らずに。

列車の中の「教室」でこまっしゃくれた子どもが言う「旧世界のバカども」という台詞があるが、しかしこの列車そのものが旧世界なのだということに、この中でたったひとりだけが気がつくことができる。旧世界は終わり、新しい世界が始まる。この映画のストーリーは黙示録であり、創世記でもあるのだ。

ナムグン・ミンスが列車の窓から見たものってなんだったんだろう…と思いながら帰路につき、途中で違う、その答えは最後に出てたじゃないか、ってことにようやく気がつきました。おそい。

がっつりハリウッドものだったら絶対もうちょっと生かしておくよなー、みたいなキャラでもガンガン死んでいくので、うわーそうくるかー、と思いつつも物語の怒涛の流れは止まらないという。主人公の告解が最後の最後にあって、その内容のハードさもすごかったし、だからこそ主人公がそのトラウマを乗り越えたところにはカタルシスがあってよかったです。

けっこうグロめのシーンもあるんですが、血ぃどばー、的なのは全然大丈夫なんですけど心理的にクるやつに弱いので、最初のアンドリューの腕のとこがいちばんこわかったです…ああいうの苦手!こええ!ちょうこええ!

ティルダ・スウィントンの怪演ぶりがそれにしてもすさまじかったですね。楽しそうでした。ソン・ガンホ初めて見たけどタバコに火をつけるとことかすんげーセクシーじゃないですかちょっとー!女教師どっかで見た、と思ったら「ニュースルーム」のマギーだったり、純朴セクシー醸し出して誰やこの俳優!ってなった人が「チェーザレ」のパオロだったりして、役者的にも見ていて楽しかったです。エドガー役があの「リトル・ダンサー」の子だったなんて!そしてクリス・エヴァンスはヒゲもあって全然キャップの印象と違った…すげえワイルドでかっこよかったです!