近鉄アート館復活祭第二夜 ア・ラ・カルトSpecial Live

  • 近鉄アート館 C2列16番

ここにまた「近鉄アート館」と書けることのうれしさよ。2001年に閉館(ハコはそのまま、演劇事業が撤退)していた近鉄アート館が、阿倍野ハルカス完成と共に帰ってまいりました。

ロビーに入ったらいきなり松原さんが出迎えてくださってて、うぎゃあああ!!と声をあげそうに。思わず握手を求めにいこうとして、いやいやいや、いやいやいや、と思いとどまった(笑)

いきなり昔ばなしなテイストであれなんですけど、昔はほんとそれこそ御堂筋線だろうが谷町線だろうがJRだろうが、何で来ても目をつぶってでも行ける、というぐらいだったのに、天王寺に降りたの久々すぎて、駅の案内図見ないと右か左かわかんないっていうテイタラク

昨年暮れに、青山円形劇場の閉館に伴い25年の歴史に幕を閉じた「ア・ラ・カルト」。そのスペシャルライブって、なんだか不思議な感じ。高泉さんや中西さんの中では、どういう位置づけなんだろうなあ、と思っていたんですが、高泉さんのお話を聞いて、なるほど、と。

この(復活祭の)話を頂いたのは昨年の11月で、一方で終幕という現実が進行している中で、かつてア・ラ・カルトの大阪ホームだった近鉄アート館が帰ってくる。こんなに嬉しいことはない、と思ったそうです。最初は、なにかトークショウのようなものでも、というオファーだったけれど、せっかく行くのだから、すこしでも「アラカルト」に近いものをやりたい。中西さんも仰ってたけれど、高泉さんの「大阪で実現させたい」という情熱はすごいものがあったそうです。

例年、クリスマスまで東京でやって、大阪は29日〜31日の大晦日まで。いつも大晦日はカーテンコールの拍手がすごくて、白井さんも陰山さんも出身が関西なので「淳子ねえ、大阪のお客はただでは帰してくれないんだよ」なんて言われたりしたそうです。でもその大阪公演も20周年のあとは来れなくなっていた。「もう本当にね、なんならアラカルトをここでスタートして、最後に東京で3日間、とかでもいいんじゃないかって。今まで、沢山の遠いところからアラカルトのために足を運んでくださった皆さんに代わって、今度は私たちが皆さんのところに出かけていきたい」。

高泉さんは、ア・ラ・カルトを諦めてないんだなっていうことが何よりも強く伝わりましたし、そのためのスタートにこの近鉄アート館が選ばれたのだとしたら、こんな名誉なことはない!って私は思いました。途中で巻き起こった観客の拍手も、そういう気持ちの表れだったんじゃないかなあ。

セットもなくて…なんて、気にされていたけど、いやなに、音楽と役者が揃えばそれがアラカルトですよ。ほんと!誰かうなるほどお金のあるひと!アラカルトのスポンサーになりませんかー!(個人的に、この芝居のあとは下戸でもワインが飲みたくなるので、ワインメーカーの方おすすめですーー!)(誰だお前)。

アラカルト恒例のオープニングのワンシーン、そしてゲストのROLLY氏を招いての一幕と、アラカルトらしさを貫こうとされていた心意気、素敵です!マルゴットを飲んで「酔った?」「そっちが酔ってる!」と言い合うROLLYと高泉さんかわゆかったなー。フリートークのところで、どんどん話に入ってくる客席のおっちゃんがいて、ほんと関西色満開でした。でもそれも楽しめちゃうのがアラカルトの素晴らしいところだ。

そして何より、私がこの日足を運んだ大きな目的のひとつだったと言っても過言ではない、ROLLYの「アマポーラ」。いや、やってくださるかなーと期待はしていたのですが、これを聴いたのはもう10年ちかく前でしたでしょうか。この曲で自分の人生がとても大きく変わった、ぼくはこの曲を60になっても70になっても、100歳になっても歌い続けますぞ、あなたのために。って、高泉さんに言ったの、彼。

心を揺さぶられる、というのを、形にしたら、こうなるんだよ、って言いたくなるような5分間でした。あの歌、あの声、あのギターの歪み。この5分間のために全部を投げ出してもいいと思える。思い出すだけで、胸の中に名前のつけられない感情が押し寄せてくるような。

こういうものが見たくて、劇場に足を運んでるんだよなー、わたし、って心底思いました。

高泉さんが、アラカルト後半戦の立役者です、ってROLLYを紹介(もっとも多くゲストに出ていただいた方、とも)していらっしゃって、お二人にとっても大事な場所だったんだろうなあというのがうかがい知れるやりとりに胸が熱くなりました。

その他にも、高泉さんがベルヴィル・ランデヴーを歌ってくださったのも嬉しかったなー。あの曲大好き。ROLLYが「妻を殺害して林檎の木の下に埋めた男の歌」といって「林檎の木の下で」をうたってくれたのもよかったです。なんつー素敵解釈!

何度も何度も話されてましたが、本当に、ほんとうに!!!年末のアート館アラカルトが実現することを心から祈っています!そして実現した暁には、ぜったいに劇場に駆けつけることを、ここに誓います!