「ハムレット」子供のためのシェイクスピアカンパニー

カンパニー10周年で上演した「ハムレット」を、カンパニー20周年、シェイクスピア生誕450周年の今年再び上演。04年の初演はわたしの年間ベスト1でした。

このカンパニーは悲劇をやっている時の方がより純度が高く感じられると思うんですけど、いやー10年ぶりに見てもやっぱり傑作ですねこれは。一度きりしか見ていないのに、好きなシーンを結構自分が覚えているのも驚きでした。自分が今まで数々見てきた「シェイクスピア・アレンジ」の中でも最高級の一作だなあと改めて実感。

「このままでいいのか、いけないのか」の台詞のささやき声の輪唱から幕開け、ホレイショーの「いっさいをありのままにお話します」から物語の冒頭へ戻るスタイル、まあこれも全部04年の時の感想に書いたことばっかりなんですけど、自分の好みドンズバなんですよねえ。何よりも、この「ハムレット」の中におけるフォーティンブラスとの関係、父を喪った王子という二人の間にだけ横たわる奇妙な連帯感をポイントを押さえて描いているところがやっぱりすごい。私としては、悲しみに震えながらも、喜びを抱きしめねばならない…!あそこで父王にそっとハムレットが抱きしめられ、死者の列(黒マント)に加わるところもぐっときます。

とはいえ、構成も演出もまったくそのままというわけではなく、かなり刷新されていたような。少なくとも前回は絶対休憩があったと思うし、墓場の場面も墓掘りとのやりとりは残っていた記憶があります。あと、このカンパニーは毎回すばらしい仕事を見せてくれることに間違いはないんですけど、この「ハムレット」はその悲劇性ゆえか芝居としての純度が高すぎて、「子供のための」という枠とはちょっと違うところにあるような気がしましたね。

いやしかし、だからこそこのカンパニーの舞台見たことない、という方にはぜひとも一度足を運んで頂きたい、と思います。

来年の演目は「ロミオとジュリエット」で、第1回公演以来の再演。個人的には「リア王」の再演もお待ちしておりますので…!