「イントゥ・ザ・ウッズ」


最近「映画宣伝と本編の乖離」みたいなの良く話題になるけど、これもけっこうその憂き目を見た作品かもな…という気がしました。ミュージカルファンには「ソンドハイムの!」ってことで、内容をしらなくてもなんとなく想像がつきそうな気がしますが、ディズニー!赤ずきん!シンデレラ!ジャックと豆の木!などなど、あのおとぎ話を並べ立てられたら、まさにゴリッゴリの「フェアリー・テール」を期待して見てしまう観客も多かったのではないかと思うんですよね。でも実際は、おとぎ話を徹底的に斜めに見た展開が続くという。

おとぎ話の主人公たちに、君らにだってあるんだろ、自意識ってやつが、とちくちくと針で刺すような展開、せっかく「必要な品」を揃えたのに最終的には「とうもろこしのヒゲでいい!」というような望んでないご都合主義、靴に合わせて踵を切っちゃうグロテスクさ、何も悪くない善意の妻をあっさりと逝かせてしまう非常さ…。「めでたし めでたし」を求めて来た客には「おれが 見たかったんは こんなもやない!」と言われかねないなーと思ったり。

個人的には、物語の主人公たちのどこか浮き世離れしたところにがっつりメスを入れ、彼らに自意識ってやつと格闘させるのは好きな展開でしたし、なによりそれでも最後「物語ること」にお話が還っていくところがすごく良い!!結局のところ、ファンタジーとはそうして現実の世界を彩るものなんだと思うし、紆余曲折の果てに彼らがパン屋の主人の語る「昔、むかし…」に耳を傾けるところはかなりぐっときました。

あと、これはもう私のツボをドカ蹴りやないか!と思ったのはバカ王子ふたりのバカ陶酔ぶりでしたね…!あれほんとすばらしい、私心底こういう行ききったバカによわい。すんげえゲラゲラ笑ってしまって、周りの人にどん引きされてないか若干心配です。いやでもあれ笑うって。やらなくてもいい胸元はだけとか、誰も!求めて!ないから!というようなアピールの数々、ほんとおいしく頂きましたありがとうございます。

まあ、ゴリッゴリのファンタジーをお求めの方にはもうすぐ公開になる「シンデレラ」(本家!)のほうがオススメなのかもしれないですね。アナ雪の短編も着いてくるしね!(ステマ