「パレードへようこそ」


わーーんすっごくよかった!!!映画館で予告編見た時から「好きそう(私が)」と思っていたけどやっぱり好きだった!!公開から結構日にち経っているけど地方はこれから上映開始ってとこも多そうなので興味のある方は是非にもだ!!

舞台は1984年、ウェールズサッチャー対NUMの炭坑ストが加熱する中、報道をみたロンドンの若者、マイクはゲイ・プライドのパレードで炭坑スト支援の募金をはじめ、“LGSM(炭坑夫支援レズビアン&ゲイ会)”を立ち上げることを決意する。しかし、寄付の申し出をしても組合にはゲイの団体というだけでとりあってもらえない…

驚くべきことにこれは実話をベースにしているそうで、しかも小説の原作等があるわけではなく、関係者への取材からこのエピソードを掘り起こしたとのこと。

この映画では抑圧と、その抑圧からの解放がみごとに描かれていて、その抑圧と解放の小さな波、大きな波が観客を物語の中へ連れていってくれるんだと思う。ゲイ&レズビアンと炭坑夫たちは相容れないように思えるが、彼らは政府から、または社会から等しく抑圧された存在として描かれていて、だからこそその「解放」が描かれる場面がぐっと胸に迫るのだ。なにしろ、ロンドンに招待された炭坑の代表であるダイが、パーティで最初にするスピーチがもう、のっけからすばらしいのである。この映画での、訴えかける「言葉」の精度の高さ、そして音楽の効果的な使い方!ジョナサンのダンスはもちろんだし、長引く闘いに意気消沈する炭坑夫たちの意気を高めるマイクと、そこに重なるBread And Rosesの歌はもう…!ああいう演出は、鼻白んでしまったりすることもあるけど、このシーンでは赤子の手をひねるかのごとく簡単に泣かされてしまった私だ。As we go marching, marching…

登場人物それぞれに(ほんとうに、それぞれに、ってこういう時に使うんだと思うぐらい、登場人物たちの細部にわたってきちんと描かれている!)彼らなりの抑圧、そして解放があるんだけど、私は中でもウェールズ出身にも関わらず最初はその地に足を向けることを拒むゲシンの物語にぐっときました。演じているのはSHERLOCKでモリアーティをやっていたアンドリュー・スコットなんだけど、北ウェールズ人はお断りよ、なんていう歓迎のきついジョークを受けた時の表情とか、遂に故郷へ足を向けるときの芝居とか、ほんっとよかった。ロンドンにきて、それこそ女は女である、ということの抑圧から解放されてバカ騒ぎをする女性たちもサイコーだし、シアンの旦那さんがホモフォビアを隠そうともしない若者にブチぎれるとことかもすっごく好きでした。そうだ、ビル・ナイさまはやっぱりいつだって最高ですし、彼とヘフィーナがサンドイッチを作るシーンもよかった、ほんと好きなシーンがありすぎる。

炭坑ストが敗北に終わるのは歴史の事実としてもちろん知っているわけですが、けれどその闘いが遺したもの、が明らかになるラストシーンは、ほんと、これが胸熱でなくてなにが胸熱なのか、という感じです。思い出すだけで感情のコップが溢れそうになるよ。映画のなかで「闘ってもどうせ無駄だ」という考えはまちがってる、という台詞がありますが、それがまさに実感できるラストシーン。

それにしても、「ビリー・エリオット」とこの映画で、Solidarityという単語は完全に刷り込まれました(笑)