「八月納涼歌舞伎 第二部」

◆ひらかな盛衰記
源平絡み、かつ「実は」展開、あんまりわかりやすい話ではないですよね。こういう時こそ(普段借りないけど)イヤホンガイドを借りてみるべきなのか…と観劇後に思ったりしましたが後の祭り。

出てくるのが大津の宿で、今自分が身近にあるということもあり、なんとなく場面を想像するのが楽しかったです。

しかし、やはりいまだに忠義のために子供を…の展開をすっと飲み込むことができないので、お筆さんの「うんうん、泣いたって死んだ子はかえってこないからね…」的な言いぐさにはお前が言うな!思いましたし、激昂する権四郎にはよく言った!って思っちまいますね。

◆京人形
どこか「ピグマリオン」的な話(彫刻家が女性に生き写しの像を造り、それに魂が入る)なのかなーと思っていたら、途中からまさかの急展開で驚きました。歌舞伎における急展開はほんとうに急展開なので気が抜けない。

とはいえ、眼目はやはり太夫に思い入れるあまり作ってしまったその人形とのやりとりにあると思います。もうね、あの人形が出てきたときのね、劇場全体に響き渡る声なき感嘆の声ね!私のうしろに外国人の団体観光客がいて、その方達はもう声が出てたね。わかる、わかるよ、どうだ、うつくしいだろう。自分がえらいわけでもないのになぜか鼻高々なおれ。

粗雑な振る舞いが鏡を懐にいれた途端美しい女性の所作に切り替わるあたりの面白さは、言葉がなくても誰にでも伝わる面白さがあっていいですよね。ご兄弟の息もぴったり。

なので、後半追っ手が!姫が!的な展開になったときには、ちょっとハンドルが急に切られすぎて頭に?マークが浮かんだりもしましたが、甚五郎が職人の道具を使って立ち回るあたりはアイデアがふんだんに盛り込まれてて見ていて楽しかったです(この前に右手を斬りつけられるのは左甚五郎のエピソードをなぞっているのでしょうか?)。