「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」


アメコミ映画を見るようになってまだ日の浅いワタクシ、実のところDCであれマーベルであれ、原作のコミックスを読んだことが、ない、のです…いやわかってる、わかってます、こんなことあえて堂々言うことではないですよね、いやとりあえず最初に映画を見る前に自分の持ってた予備知識を明らかにしておいたほうがいいのかなと。マンオブスティールは見てる、バットマンの単独作でまともに見たことがあるのはダークナイトだけ、この映画のあとに「ジャスティスリーグ」の製作が予定されていることは知ってる、ドラマのフラッシュは存在は知ってるけどドラマは見ていない、そんな感じです。

すごーく面白かった、面白かった…というか、圧倒されたというか。個人的には前作のマンオブスティールより好きでした。とにかくなんというか、絵力(えぢから)がすごいので、うおっ!うおっ!言ってる間に次が来る。見終わってつらつら考えると、あれ、あそこどうなんだ…とか思うとこもあるんだけど、見ている間はとにかく絵力!絵力だ!こい!おらあ!みたいな圧があるのでそういうところを「とりあえず置いておこう」ってなってる自分がいました。そういう意味ではほんとに漫画を読んでいるときの感覚に近いのかもしれない。ストーリーよりも見開きドーン!で圧倒されちゃうみたいな。感情移入できるキャラクター作りも勿論大事だけど、そういう積み重ねよりも1枚の絵のほうが説得力あるってこともあるわけで。

でもよく言われることだけど、漫画というかコミックって、かなり独特の文法のうえに成立していることが往々にしてあるから(少女漫画もよくそう言われますよね)、この映画も文法そのものが合わない!って人がいても不思議じゃないかもなーとは思いました。

とはいえ、その圧倒的な絵力を持ってしても、うむ?となったのはいわゆる「夢か…」的な展開が2時間半の間に3回あるという点(全部バットマンだけど、クラークの山の上でのシーンも含めると4回だ)。夢か!となることそのものもだけど、個人的にああいう展開が連続すると「この映画の世界におけるリアルのライン」を見失いがちになってしまうので、できればここぞの1回でお願いしたい気持ちがある。もうひとつはクリプト槍をロイスがえいってその辺の水たまり(但し水深アリ)にポイしちゃうところだ。ポイしちゃうことそのものも「君の恋人の命を唯一奪える必殺の武器をなんでそんな不用心な!」ってなるし、挙げ句それを拾いにいってピンチにあうっていう…どんなマッチポンプ

あとはレックスさんとこ、そんな大事なサーバールームが厨房の隣…?とか、ダイアナさんはせっかく盗んだのにファイル開けらんなかったから返すわーってそんな行き当たりばったりな…とか(でもあの写真、ワンダーウーマンの隣がクリパで興奮した!)、できればスーパーマンの人道救助ぶりをダイジェストじゃなく話の流れで見たかったなとか(話の流れで救助するのがロイス一択だからさ…)、ルーサーがクリプトナイトを利用してバットマンとスーパーマン相討ちさせよう的な深謀遠慮をもうちょっとわかりやすく…とか、なんか、こうやって書いてるとあとからあとから出てくるんだけど、そう、でも映画を見ている間は「まいっか!」と思って見られちゃってたので、やっぱり絵(画)の持つ力って大きいねって話、なんでしょうか。

あっでも、ドゥームズデイのビジュアルがどう見てもオークにバルログの要素掛け合わせたみたいな感じでどうなんだろうというか…うんまあこれはオレがLotR信者だからかもしんまい…

あの、2人が共闘するきっかけが母親の名前、っていうのはなるほどね、というか、同じ名前、というのは単なるきっかけであって、あそこのバットマンの「今日はマーサは死なない」って台詞がすべてというかさ、あの瞬間もう1回だけ「マーサが死なない日」を作るチャンスをもらうっていう、そこはわりとすんなり飲み込めたし、なによりそのあとのバットマンのアクションがめちゃかっこよかったのでようしようしようし!みたいにしかならなかった私だ。

主要キャストはみんな文句なくよかった!!!ベン・アフレックバットマン、決まった時は散々ネタにされててベンアフ贔屓のわたしはちょっとかなしかったのだが、すごいよかった!よね!?でもってアルフレッドに至高のマイラブ、ジェレミー・アイアンズさまを配しているというこの盤石さ!ジェレミーアルフすごい!なんでもできる!ぼっちゃんに珈琲持ってきてもらったりして!足組んで郵便物さかさかさばいたりして!お酒飲みながら「話はみんな聞かせてもらった!マーサならここ」ってできる男すぎるし、ぼっちゃんに嫁の来手がないことをチクチク言うのも最高すぎた。ベンバッツとジェレミーアルフもっと見たい見たい!

でもってワンダーウーマンの、あの、あれ。あの登場シーン。あの音楽。もう、ずっっっる!!!ってのけぞっちゃいそうな漢と書いて男と読まずワンダーウーマンと読む的な漢前ぶり!!あおーん。かっこよすぎだろう。ワンダーウーマンがどういう能力の人かよく知らないんですけど、うん、めっちゃ強い!って画面が主張してたし、実際めっちゃ強かった。いやーだからさあ、こういう胸のすくかっこいいシーンがスーパーマンにもあったらな…って思っちゃったり。カヴィルさんほんと見れば見るほどギリシャ彫刻かよ!な造形美溢れるお顔立ちで苦悩するお姿すごく似合うけど、もっと純というか、天然というか、正しいと信じることを行う、っていうすっきりした信念が見えるような見せ場がもっとあったらなあと思ってしまいました。