「キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー」


いやーーーー
面白かったですねっ!!!!(のっけから)
「ウィンターソルジャー」公開から約2年、こんなに「その後」を楽しみにした映画も久しぶりで、とはいえ楽しみな一方「これは前作があまりに好きすぎて次になにがきても満足できないパターンでは」とか「とりあえずひとつでもかっこいいアクションシークエンスが見られればもうそれで」とか観る前に予防線を張りまくってしまっておりましたが、いやー…
面白かったですねっ!!!(2回目)

MCUも作品が積み重なっているので、予習必須でハードル高いという声も耳にしますけれども、あと私はいちおうシリーズ関連作を見てからこれに臨んでいるので「いきなりこれを見たらどう思うのか」ってところはちょっと想像がつかず、そりゃ前作見ていたほうがいいよなーと勿論思うんですが、しかしとりあえず物は試しで予習なしで見てみてもいいんじゃないでしょうか!(無責任)最低限あげるとしたらエイジオブウルトロンとウィンターソルジャーかなって感じですかね。時系列的にもこの2作のまさに「続き」ではあるので。

以下作品の具体的な展開に触れるのでたたみまっす!
当然のことながらMCUはアメコミヒーローたちを描いた映画であり、ヒーローが描かれるということは当然そこにはヴィラン、悪役が存在するわけですが、シリーズが重なっていく毎にむずかしさを増すのがこの悪役の設定なのではないかという気がします。ヒーローたちが強くなる分、より強大、より凶悪、そういう悪役を設定することによってどんどん世界観がインフラを起こしていって、なんとーなーく大味な映画になっていく。それはそれで楽しみはあると思いますが、私の好みからはちょっとはずれてしまう部分があります(とはいえ、アメコミが強さのインフラ起こさなくてどーするよ!という意見ももっともだと思います)。シビルウォーというビッグタイトルで、キャプテンアメリカ名義の単独作の形であるとはいえ出てくるヒーローの数も段違い。キャップとアイアンマンの対立構造を描くのはわかっているけれども、アイアンマンをヴィランにするわけないし、いったいどういう構図でくるんだろうか?

なので、その強さのインフラ化を逆手に取ったというか、ヴィランの設定、動機、そこへもっていくための展開、こうきたかあああああ!と思いましたし、冒頭の冷戦時代のウィンターソルジャーの作戦行動が、シーン自体はひとつなのに3つの異なる角度から意味(兵器としてのバッキー、運んでいた物、運んでいた人)を見せていくというこのうまさ、唸りました。唸りました。

そこにアベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロンで舞台となったソコヴィアでの行動が深く入り組んでくることになります。ヒーロー活動によって生じてしまった人的物的被害の責任はどうするのか?そもそも多国籍者のヒーロー活動を「今、そこにある危機」を理由に縦横無尽に許してよいものなのか?そこで「アベンジャーズ」自体を国連の監視下に置き、今後は委員会が認める時に限り出動を許可する、その協定「ソコヴィア・アコード」がヒーローたちに提示されるわけです。

この協定について、キャップは署名を拒否し、アイアンマンは署名を飲むわけですが、この選択についてどちらにも理があり、非がないという描き方になっているところがうまいですよね。現実的に考えれば、「アベンジャーズには意思決定のプロセスがない」とトニーが言うように、協定を受諾し委員会傘下になる方が現実的ではあるでしょう(国際法的に考えても、それが妥当と思います)。しかし、とキャップは言います。それはできることをできなかったときの責任から逃げている。行くべきでないところに行けと言われたら?組織なんて、いつだって変わる。

ナターシャがトニーに賛同して、署名をしたとしても、ハンドルさえ離さなければ、アベンジャーズを維持できると言うように、トニーの選択は現実的であり、アベンジャーズというものの維持を念頭に置いた選択であると思いますし、私も、もし実際にどうするかという立場にあったとしたら、署名をする方を選択すると思います。でも、だからといってキャップは間違っていない。まったく間違っていないのです。キャップの求めるのは「あるべき」姿だし、実際にキャップの危惧に対する有効な答えは誰も持ち合わせていないのです。そこがまさにキャップの、スティーブ・ロジャースたるゆえんであると思いますし、自分に出来ない選択だからこそ、そこに惹かれるという部分があります。つまるところ、トニーに対しては「わかる!」「それな!」って言いたいし、キャップに対しては「すげえ!」「それでこそキャップ!」って言いたい。

この協定を巡る是々非々だけでも相当面白いのに、この間隙を突いてくるジモの用意周到さによって、キャップにとっての「弁慶の泣き所」(っていう表現が正しいかはともかく)バッキー・バーンズを巻き込み、絶妙に双方の目的や視点にズレが生じていく展開、そこからの空港大乱戦、そして最終目的地へ…という流れの見事さよ!

でもって、ほんとここがマジで製作陣有能すぎておそろしい!ってなったんですけど、最後にキャップに盾を置かせるんですよね。そしてその「自ら盾を置かせる」ことに説得力がある。キャラクターの死、ないしはそれに近い事象を描くことなく(大事!!!)ここまで持ってこさせている!!えらい!なんでえらいかって、だってこれはまだ続くんですよ。MCUはこのあといくつかの単独作を経てアベンジャーズ3に繋がるんですよ。つまりこの盾を、もう一度キャップが取る日が来ることは折り込み済みなんですよ!!盛り上がらないわけない。盛り上がらないわけない。それをトニーが渡しでもした日にゃうれションものですよ!想像だけで白飯3杯いけるわ!!!

しかもその最終決戦でキャップに第1作の「ファースト・アベンジャー」とまったく同じ構図で"I can do this all day"の台詞を言わせる用意周到さ!ハイ!私の大好きな最初と最後がループする構図!!ありがとうございます!ありがとうございます!そうなんだよ、キャップはあの路地裏で輩にぶっ飛ばされてた頃から今までなんも変わってないんだよ、キャップ…まじついていきます…(ってなっちゃうよねっていう!)

今回はブラックパンサー、そして配給元ソニーからお貸し出し!のスパイダーマンMCU初お目見えということで話題を呼んでおりましたが、このヒーローの顔見世としてももう、ほぼ満点といって差し支えないんじゃないでしょうか。しかも、スパイディにはトニーが、ブラックパンサーにはスティーブが関与することによって、今後単独作公開が決まっているこの2人のヒーローと現MCUのツートップとの関係性を築くことに成功している。おいおい〜〜〜、後続作への目配り気配りおさおさ怠りなしかよ〜〜!怠りなしかよ〜〜!

ウィンターソルジャーに引き続き今作の監督もルッソ兄弟で、これだけヒーローが出ててもちゃんとそれぞれの魅力を伝えきってるのほんとすごいし、あのくっそカッコイイアクションはもちろん健在だし、続くインフィニティ・ウォー(アベ3、ただしタイトル変えるよ宣言あったのでまだ未定)もルッソ兄弟が監督…うれしみ…絶対生き延びる!と強く心に誓う次第であります!