「八月納涼歌舞伎第二部」

◆「東海道中膝栗毛
染五郎さんと猿之助さんで弥次さん喜多さん!いやそりゃ誰もが見たいと思う座組ですよね。猿之助さんは昨年秋からのワンピース歌舞伎、染五郎さんは今春のラスベガスでの獅子王公演と、それぞれの話題もぶっ込みつつ、まさに「なんでもアリ!」

猿之助さんが参加されたことで澤瀉屋の面々が納涼歌舞伎に顔を揃えられるのがやっぱりすごく新鮮でしたね。ほんと、いろいろ…いろいろあるんだろうけど、みんなもっと混ざり合ってほしい!と無責任な観客としては思ってしまいます。

弥次喜多のお伊勢参りを枠組みに、物の怪屋敷やクジラに乗ってラスベガスやら天照大神やら(アレ、個人的にはトドメのビジュアルでした…まじでなんでもアリだな!)、まさか歌舞伎座でカジノのルーレットを見ようとは(笑)時事ネタも豊富にぶっ込んできていて、「文春(ふみはる)」が政財界のスクープを狙っていたりとかなりの盛りだくさん。ただ、要素要素のテンションは高いんですけど、それぞれが有機的につながっている…とまではいかないのが残念だったかな〜。どれだけ破天荒に話が展開しても、なにかひとつのところに物語が収束する(伏線が回収される)ほうがやっぱり好みなんだよな〜。

テンション高いと言えばラスベガスの支配人に触れないわけにいかないんでしょうけども、獅童さん、もともと笑いに対する嗅覚が鋭いし、かつ貪欲でもある人だけど、こういう場を与えられると暴走がハンパない!もう観客が獅童さんしか見ていないというゾーンになっていてすごかったです。獅童さんが去ったあとでもその余韻が残ってる感じ。い舞台あらし!(笑)

お遊びの中にも猿之助さん染五郎さん揃っての毛振りが見られるという趣向もあったり、最後には弥次さん喜多さんが花火と共に打ち上がって飛んでいくという宙乗りもあって、ほんとうに盛りだくさんでした。六月、七月の興行ふくめて「三ヶ月の飛び納め」と仰ってましたね。しかし、私は猿之助さんが男と手を繋いで宙を飛んでいく姿に「この構図、前にもどこかで…」とか思ったとか思わなかったとか。

◆「艶紅曙接拙」
紅翫。初めて拝見しました。成駒屋のみなさん打ち揃ってちょっとした顔見世の雰囲気。それぞれが江戸の風俗を象徴するような物売りになっているのが楽しいですね。朝顔売りとか、虫売りとか、団扇売りとかももうないものなあ。勘九郎さんは裸足で踊られるので、思わず足元をじっ…と見てしまいなにやってんだろう自分と思いました。へっへっへ。