2016年のベスト

明けましておめでとうございます。ようやく年内に観た芝居の感想を書き終わりましたので恒例の振り返りをしておきたいと思います。総観劇本数37本(リピート含まず)。減った!しかし減った原因は明らかです。2017年はどうかなあ。髑髏城が年間通して上演されるという正気か!おい!みたいな時代に突入しており、ここまできたら最後までつきあうぜ!という気持ちは売るほどあるのですが、しかしついていくにはまず軍資金が!っていうね!がんばって働きます。なんとなく50に届かないまでも40〜45ぐらいは観ておきたいというか、個人的にはそれぐらいの数がちょうど無理なくしっくり、という感じがあるので、もうちょっと、きもち増やしていくぐらいのココロでがんばりたいです。

  • 2016年に観劇した芝居でよかったもの5本(観た順)

「夫婦」
「逆鱗」
「治天ノ君」
「クレシダ」
「ワレワレのモロモロ・東京編」

ハイバイが2本入りました。やっぱり岩井秀人さんて役者としても作家としても今ちょっと目が離せないひとだなあという感じですね。「夫婦」もすごかったですが、「ワレワレのモロモロ」で岩井さんが書かれた短編のクオリティの凄まじさにほんと脱帽しました。あの「時代」を歌うシーン、歌の歌詞にふんだんにサブテキストを感じさせる構成の妙、最小限の台詞で状況を把握させる作劇術…ほんとすばらしいです。
「治天ノ君」は再演でしたが、これは観られてよかったですね。ここまで踏み込んだ内容と云うのはちょっと映画やドラマにはなりにくいのではと思いましたし、この劇団は観た後もその作品で描かれた内容についてより知りたくなるというか、そういう時代の間隙を描くのがすごくうまいなと思います。
野田さんの新作はここんとこ私のベストになかなか顔を出してなかったんですけど、「逆鱗」は文句なしにすばらしかったです。なによりも野田さんの真骨頂ともいうべき、哀切、ただ切なさというものが、弾劾や告発といった色合いを上回って感じられたのが個人的にぐっときたポイントでした。松たか子阿部サダヲという役者の破格の腕力にもやられました。ほんとすげーぜ。
そして今年のベストは「クレシダ」です。最初は観劇予定になくて、でも東京公演をご覧になった観劇仲間の方々の絶賛ぶりに心動かされてぎりぎりでチケットをとりました。本当に観てよかった…。平さん演じるシャンクが、若いスティーヴンにかける言葉のひとつ、ひとつが、芝居をつくるということ、演じるということはなんなのかを体現しているように思え、自分がいま、得がたいものを観ているということに本当に心震えました。