「フリー・ファイヤー」


(このポスター好きなんすよ…てへへ)
おおおおおもしろかった!!!!アーミー・ハマーさんが出てるというので知ったのですが、予告見ても好きそう要素しかない!と思って里帰りにからめて見てきました。上映館少なめなのがかなしいけど見に行けそうな方は是非!

深夜の人気のない倉庫で行われる銃取引。ライフルを買いたいアイルランド生まれの男たちと、売りつけたい南ア育ちの男。何でもない取引のはずだった、しかし少しずつ歯車が狂い始めてしまう…!

銃取引が行われる古びた倉庫、銃と金を挟んで向かい合う者たち、このワンシュチュエーションで90分間見せきります。なにしろ売るほど(not比喩)銃があるわけだから、もっと激しい撃ち合いの乱戦になるかと思いきや、うまいこと武器が双方に配分されていて(それも前半で無理なく描かれている)、リソースに限界があるところ、でもって一気に衝突!ってなるんじゃなくて潮の満ち引きのようにヤバい空気とそれをなだめる空気を見せていくのがすごくうまい。こういうの、最初に引き金を引いたやつが「単にバカ」みたいな感じで描かれそうなところ、アーーッこれは引いちゃう!ダメだけど!ってなるものなあ。

銃を買い付けるほうは1978年、アイルランド、というキーワードからもおそらくIRAがらみと思われ、思想的に(そして血のつながり的にも)一枚岩と言える一方、売り手はブローカーに仲買人にスキあらば買い手の目を誤魔化したい者にと、敵と味方が瞬時に入れ替わってもおかしくない構成なのも展開の多彩さに拍車をかけていたと思います。

あと、銃で撃たれる、というアクションをことさら引き立たせて見せてないというか、「ビックリさせるための演出」に使ってないのがすごくいいなと思いました。撃たれるときはなんのドラマ性もなくあっさり撃たれるし、撃たれてもまだ生きてるし、これは死ぬな!というときはちゃんと観客にもそうわかるように死んでいく。死をむりやりドラマにして引っ張らなくても物語の吸引力がまったく落ちない。

アミハマさんの演じたオードくん、もふもふおヒゲの伊達男で、終始冷静に「生き残り」を視野に動いているのがめちゃんこかっこよかったです。しかし背ェたっかいな!キリアン・マーフィーと並んだ時のサイズ感の違いに改めて感心しました。どっちかというとオードくん目線で見てたけど、電話をめぐるクリスとフランク、そしてヴァーノンの攻防は見応えあったなー!あの電話の小道具の使い方とかほんと唸るよね(だからこそ、年代は「今」じゃできないのよね、携帯電話があるから)。

オードの台詞(それだけ撃たれても1時間30分は持つ)や映画冒頭の監督からのメッセージ(FBI云々…)でもあるとおり、人間はなかなか死なず、しかし死ぬときは死に、あの箱庭的世界でその円環がうつくしく閉じられるのが個人的にめちゃんこツボでした。面白かったです!