「五月花形歌舞伎 夜の部」

  • 松竹座 1階左列9番

「野崎村」。七之助さんのお光で野崎村観るの初めてだっけ…(お染は何回か見てる)と思ったらあれか、お染の七役のときにお光もやったからなのか勘違いしてたのかな…ってそんなわけある!?ということでたぶん七之助さんのお光初めてです。むっちゃかわいくてむっちゃいじらしい。ただ、個人的に野崎村ってすごくハマって見ちゃうときとそうでもないときがあって、今回はなんだか座組として最後まで乘れずに終わってしまった感がありちと残念。

怪談乳房榎」。勘九郎さんで拝見するのも3度目になるのかしら。新橋演舞場歌舞伎座と比較すると松竹座は間口が小さいのだけど、その一回り小さいコヤがこの演目にすごく合っている気がしました!あと大阪のお客さんこういう芝居やっぱ大好きだ。勘九郎さんも初めてやったときと比べてもぐっと余裕が出てきているのもあるし、その余裕がまた早変わりの凄さとのギャップでより鮮やかに見えるし、相乗効果ってこういうこと?っていう。早替わりのたびに観客がわっと浮き立って、それがあのクライマックスでだんだんと「自分が今誰を観ているのかもはやわからない!」みたいなカオス状態に陥っていくの、演ってて最高に気持ちいいだろうな〜!なんて思いながら見ていました。

でもって、あの花道での三次と正助の早替わり、左列だったので目の高さでばっつり見たわけなんですけど、ちょっとわかった気がしたけど、逆に言うとここで見てもちょっとしかわかんないっていう。マジックか!マジックかよ!三次が正助を追ってぽーんと花道に飛び出していくときの跳躍とかさ、もう文字通りわっ!って沸いたもんね…あの身体能力の高さ…!

今回は猿之助さんが浪江ということで、こーれがまた新鮮でよかった。でもって、ここぞ、というときの押し出し力がすごい。もう、ぐいぐいくる。色悪、というよりもふとした瞬間に芯からこわい男、というような佇まい。華があるよねえ…(ぽわわわわ)

正助と三次って、ほんと真逆の役なのに(いわばカツアゲする側とされる側)、早替えってだけじゃなくて人まで変わったように見える瞬間がいくつもあって、そういう振り幅も含めて楽しみました!やっぱりこういう趣向をふんだんいこらしてもてなしてくれる演目は大阪でぐっと客を掴むんだな〜と改めて実感!