「中村勘九郎 中村七之助 全国芝居小屋錦秋特別公演2017」

  • 金丸座 1階ろ6番5

今回は「全国芝居小屋錦秋特別公演」と銘打って岐阜のかしも明治座や東座、愛媛の内子座や熊本の八千代座、福岡の嘉穂劇場等々由緒ある芝居小屋を巡業されていて、芝居小屋といえば!な金丸座にも来てくださいました。芝居小屋公演の演目は歌舞伎塾、勘九郎さんと鶴松さんの棒しばり、七之助さんの藤娘。

歌舞伎塾は昨年もやっておられましたが、基本的には同様の趣向(だからか、芝居小屋公演でないところは「芸談」となっていますね)で、女形ができるまで、をリアルタイムで追いつつ澤村國久さんの司会で小道具のクイズをやったり…という感じ。途中の質問コーナーで、初めて金丸座に来たのはいつ?という質問があって、勘九郎さんは勘三郎さんと幸四郎さんが金丸座で「沼津」をやったとき(こんぴら大歌舞伎の第3回だったと仰ってました)客席で見ていたら舞台に上げられたのが最初と。そのあと、ドラマの撮影でも一度来ているそうです。七之助さんも最初はドラマで、詳細は忘れた!と言いつつ役名は覚えてらっしゃったのがすごい。旅芸人のお役だったそうです。他にはうどんは食べましたか?って質問があって、七之助さんは「うどんはここ(香川)でしか食べないので、食べおさめです。江戸では食べない」と(笑)「狸屋」さんによく行かれてるそうですよ。勘九郎さんも「おがわ」に昨日食べに行ったら、8年前にちょうど金丸座の楽日がご自身の結婚会見で、その打ち合わせをおがわでやったよねって話が出て懐かしかった、と仰ってました。

七之助さんと勘九郎さんが支度のためにはけたあとは國久さんといてうさんが司会進行をしてくださったんですが、このあとの演目の紹介をいてうさんから、って振られたいてうさんが、棒しばりのことを「棒しばりは…棒に、しばられたりして…しばられて…いろいろするのがおもしろいところです…」ってまとめたので國久さんに「雑!」って斬り捨てられてたのが面白かったです。

その「しばられていろいろする」棒しばり、勘九郎さんの次郎冠者、鶴松さんの太郎冠者。いやーやっぱりこの小屋距離が近いね!歌舞伎塾で見ている間はそんな気もしなかったけど、拵えをして役者がドンと揃うと近い〜〜〜〜!!ってなりますね。勘九郎さんの次郎冠者、踊りの安定感はもちろんだけど、座組をぐいぐい引っ張ってるのが実感として伝わる存在感で、頼もしいったらない。あとあの近さで見ると改めてその身体能力の高さに目を瞠る。鶴松くんもよく食らいついていて楽しく拝見しました。

七之助さんの藤娘。その前の歌舞伎塾のときに、藤娘は暗転からチョンパで明かりがつくけど、金丸座は昼の部は外から明かりが入るので雨戸を閉めていて、お茶子さんたちが扉をいっせいにパタパタと開けてくださってますとご紹介してくださったおかげで、そのパタパタと雨戸が開いていくさままで楽しめました。間口の狭い舞台に大きな藤の花が咲き乱れている様子がまたよく映えていてよかった。七之助さん相変わらずの美しさですが、今回の藤娘はどこかふっくらした佇まいがあったのが新鮮でした。