「マイティ・ソー バトルロイヤル」


ソー単独3作目、タイカ・ワイティティ監督。いやー最高でしたね!面白かった…単純にげらげら笑える面白みもありつつ大画面だからこその迫力と高揚もあり、堪能しました。当初は監督から「MCUの今までの作品全然見てない」とか「前2作は気にしない」などなどの発言もあり、不安視していたむきもあったようですが、なんとなく無根拠に大丈夫なんじゃないかって思ってましたし(シェアハウス・ウィズ・バンパイアめっちゃ面白かったし)、トレイラーもどこも不安要素なかったですもんね。それにしても、なんだかんだMCU作品を観続けていて一番すごいなって思うのはネームバリューのある監督に頼らずどんどん若手を起用してそれが全部当たるっていうところだと思うので(ルッソ兄弟もジェームス・ガンもそうだし、次のブラックパンサーライアン・クーグラー!)タイカ監督に目を付けたのもほんと慧眼としかいいようがない!

原題のラグナロクがバトルロイヤルに変更になったんですけど、まあバトルロイヤッてもいたけどどうみてもラグナロクる成分の方が大きかったっつーか完全にラグナロクだったしむしろそっちの方が言いやすいっていうあれだった。バトルロイヤルどうしてもバトルロワイヤルとの混同が…あれ?そうでもない?っていうかこのラグナロクっていう題材をここまでカラフル&ポップなコーティングで、でもその選択の重さと末路はちゃんと描ききるってほんとタイカ・ワイティティ監督すごいですよね。

「ダークワールド」後のアスガルドにソーがやってくるところ、いやもうほんと笑いすぎて声をこらえるのに必死でした私は…なにあの弟の承認欲求満載の劇…しかもそれをやってるのがマット・デイモンでほんとあんさん何やってはりますんやって思いました。ソー役はクリヘムさんのお兄ちゃんだけあってクリソツだし、オーディンサム・ニールだった。どこに予算使ってんスか!

オーディンが去り、ヘラが現れて、ラグナロクの世界に突入していくまでをささささっと描ききっていて、そのあとスカールに吹っ飛ばされた兄弟は終盤までアスガルド(のヘラ)と絡まないっていう、この構成もよかった。そのスカールで登場してくるキャラクターがみんな魅力的で、キャラに十分愛着を持たせたうえで最終決戦に持っていくのがうまい。酔いどれヴァルキリーマジで最高、ああいう、何かを諦めているけどすべてを捨てたわけではない、ってキャラクターはわりと男性に振られることが多い気がするけど、女性に振ってしかも最高にカッコイイっていうのがいいよね…!あのロキが見せる記憶の場面、絵画のようでめちゃくちゃ美しかった…。グランドマスターの享楽的な反面、強権を振りかざすことに一切のためらいのない支配者ぶりもよかったです。映画全体でわりと遠慮会釈なく殺戮が描かれていて、あんなにキャラキャラと楽しい映画なのにその温度差もよかったなー。ジェフ・ゴールドブラムは好みが服着て歩いている!ぐらい好きなタイプなので彼が出ているシーンはすべからく目の保養でした。

スカールでのハルクとソーの再会、バトル、「ベッドでの仲直り」(言い方―!)もよかったし、あと何より私ソーがハルクに、あのウルトロンのときのナターシャの真似するところでホントに腹筋が死亡遊戯でした…。ソーがハルクにびったんびったんされて快哉をあげるロキもそうだし、「兄弟だ」「養子だ」を今度はロキに言わせるのも最高。シリーズを見ているひとならより楽しめるネタもたくさんあったなーと。兄上、髪ばっさりいっていやーもう個人的には最高のルックス。ありがとうございます。スタン・リーにわけのわからない機械でバッサリいかれてて、あの機械でどうやって切れるんや!とその過程を想像して遠い目をしています。クインジェットの個人認証のところも最高でしたね、バナー博士やっぱトニーにちょう贔屓されてるね!って思ったし、トニーの服が…とか言って話題に出るのもうれしかったな。バナー博士もなんだかんだ言いながらハルクと博士号で対抗しようとしたりして、ハルクはハルクでヴァルキリーと体育会系の友情が垣間見えたりして、みんなを愛さずにいられないし、その「みんな」をうまく最終地点まで導く手管がすごい。でもって、ソーがちゃんとその導き手になってるのもすごい。あの行動の迷いのなさが他のヒーローにはないソーの魅力だし、この映画の爽快感なんだろうなって思います。

ロキとソーのやりとりも、そうなんだよ、ロキは悪いこともいいこともするいたずらの神様なんだよっていう、私の思うロキのキャラクターにいちばん近くて、しかも兄上にはそれをどこかあしらいつつ受け入れてやるって大きさがあって、いやーこのふたり、いつまでも見てられるね…って思いませんでしたか皆さん。私あの闘技場での幻影ロキの「こんなきたないとこ来ないよ」って言う顔とか大好きです。あと兄上がロキより一枚上手でびりびりを仕掛けちゃう顔も大好きです。なんだかんだ「助けて」ごっこをやるやらないでウダウダするのも大好きです。ロキたんソーたん、ホントに仲良く喧嘩しなのまんまでしたね。ああやって命がけの悪ふざけしながら肩ひっぱったり足持ったり、アッ違う逆だ、とにかくそんなことをずっとしていてくれよと思いました。

ラストバトル、全員に「ちょっと!今のところ巻き戻して!」って言いたくなるような、カッコイイの極み!みたいなショットがあって、そこだけでも延々見てられるな、私。ソーが覚醒するところ、そうだよ!ソー(トール)は北欧神話最強の神様なんだからーーー!!ってトールびいきの私の血が燃え盛りましたね。しかもあそこで「移民の歌」!!!ガンギマリにもほどがあります!!!あとアスガルド組では何にテンションあがったかってそりゃフェンリルにきまってますよね!!ヴァルキリーにあの犬死なない!って言われてるけど狼だよ!フェンリルを従えるケイト様の絵になること絵になること…。あとスカージもね、あの展開、これNEXT版阿弖流為を見た方にはわかって頂けると思うんだけど、おまえ…蛮甲じゃないか…!ってなったし、そういうキャラを私が嫌いなわけないのであった。

しかしこれでアスガルド民が地球にやってきて、はあーインフィニティ・ウォーが近づいてきますな感がすごい。いやその前にブラックパンサーですけども!

アイアンマンとキャップとソーはMCUのビッグ3と言われているけど、個人的にアイアンマンは第1作が、キャップは第2作が、ソーは第3作が一番好きなのでほんとバランス良い。これ特典映像とか未公開シーンとかも楽しみに待っちゃうやつですよ。いやはやホントに最高でした、興行収入も絶好調で言うことなしです!!