「中村勘九郎 中村七之助 春暁特別公演」

勘九郎さんが4月から大河ドラマの撮影に入られるので舞台はしばらくお休みされるわけですが、その前にご兄弟での春暁特別公演で全国回ってくださるという。岡山公演にお邪魔しました。
芸談では1年ふり返りトークと質問コーナーがあったのですが、面白かったのが「アメリカのおすすめスポットを教えてください!」というご質問。勘九郎さんが思わず「ざっくりすぎる!」と返していましたが、質問者さんの意図としては「近々にアメリカに旅行に行く」「アリゾナの別荘もあり何度も訪米しているおふたりは詳しいに違いない」「おススメ教えて!」という流れだった(あとでちゃんとご説明なさった)ようです。どこに行くんですか?との勘九郎さんの問いに「ニューヨークとロサンゼルス」。わお横断なの豪儀だな(という私の心の声)。西海岸のおススメは七之助さんが「本場ディズニーワールド」。驚いたのが「ショーもいいですよ」って発言に質問者さん「ショーのおすすめも…」って更問したんだけど、それにぱぱっといくつかショーのタイトル答えてたこと!ほんとに好きなんだね…!わしゃショーのタイトルなんかひとつも言えんよ(その前に行ったことねーだろーが)。

そしてニューヨークのおすすめで勘九郎さんが挙げたのが先日ご自身でご覧になったという「SLEEP NO MORE」。廃業したホテル地下2階地上6階約100室を舞台に繰り広げられる体験型プレイ。タイトルから明らかなとおり「マクベス」を下敷きにしているようで(最初そのものずばりのタイトルを言うのをためらわれていた様子だったけど、その後バーナムの森とかいろいろ言っちゃってたのであまり意味はなかった)最初のバーでの呼び出しから始まって非常に熱弁を奮っておられたし、また魅力の伝え方がうまい!観客は積極的に関与するも傍観者を決め込むもいずれのスタイルもアリっぽいのですが、勘九郎さん曰く「積極的にぐいぐい乗っかってった方が面白い」そうです。しかも勘九郎さんはラッキーなことにクライマックスで吊るされた役者を助け起こしたら、その彼ががばと抱きついてきて耳元でかの有名なマクベスの台詞「tomorrow ,and tomorrow ,and tomorrow」を言ってくれたらしく「もう耳から鳥肌!」と大興奮だったそうです。「ラッキーだったなー」と何度も仰ってました。実際にその演目も面白そうだし勘九郎さんの熱い語りも聴けたしでなかなかない機会だったなーと。

そうそう、おふたりが「中村屋と岡山は縁の深い…」って話されてて一瞬「?」となったけど、そうか桃太郎だ!そうだそうだすまんすまん!と思いました。駅前にもあるものね桃太郎の銅像(あるんですよ)。

小三郎さんたちによる「鶴亀」、勘九郎さん「浦島」七之助さん「枕獅子」と舞踊演目が3つ。枕獅子面白いですね!芸談でも七之助さんが「いろんな踊りが組み込まれてる」と仰ってましたが、ほんと見応えありました。最後顔を直さず毛ぶりになるのも不思議な感じだったなー。勘九郎さんの「浦島」、いやーニコニコ笑いながら見てた。なんつーか、ほんとわたしこの人の踊りが好きなんやな…と20分強の時間でもしみじみ思うね。釣り竿を使った振りがあまりにも(パントマイム的な意味で)真に迫っていてどよめきが起きたのが面白かったです。ぱっと開けたらおじいさん、なんだけどその爺ぶりがまた達者であった…そういえば決闘!高田馬場でも妙にうまかったな爺さんの役が…。

残念ながらスペインには行けませんのでしばらく勘九郎さんの舞台もおあずけ、ですが、この年になると知っている、まだまだ先だなとか思っていても月日、わりとあっという間。次の逢瀬までにいろいろ貯めておきたいです。お金とか。あと…お金とか(無理だろ)。