「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」

f:id:peat:20180708225030j:plainロン・ハワード監督。当初はフィル・ロード&クリス・ミラー監督が起用されていましたが、撮影開始後に降板。ところで、先日のコミコンで今作で悪玉を演じているポール・ベタニーロン・ハワード監督に「冬の長い夜、なぜ自分はスターウォーズシリーズに出ていないのだろう?と考えたことはありますか?私はあります」という面白くも直球なアピールのメールを送って、見事本役をゲットした、と話していたんですが、いやもうこのエピソード最高だけど、えっということは監督が交代してからこのキャスティングが決まったってこと…?マジですごい早撮りだなロン・ハワード御大!と思いました。

興行収入が振るわなかった(いや、SWシリーズはみんなお化けみたいな興収だから較べられちゃうとね…)こともあっていろいろメディアでは言われていたりするようですが、見終わった瞬間の私の感想はうーん手堅い!って感じでした。共感と驚異、シンパシーとワンダーという創作物に必要とされる要素(受け売りです)でいえば、ワンダーの部分は確かに薄いので、そういう部分を求めているひとには食い足りないかもしれない。個人的に???と思った部分がないわけではないですが、やっぱりいちばんは手堅く楽しませてくれたなーという印象です。

何かと比較して言うのは御法度であると重々承知していますが、個人の感想ということでおゆるしねがいたいけど、「最後のジェダイ」より全然楽しめたし、あの映画のルークの描かれ方がまだ喉に引っかかった小骨のようになってるので、往年のガチSWファンがショックで足が遠のいたとしても、わかる気がする…という気持ちです。

冒頭のキーラとの関係性の見せ方とか、再会とかよりも、もっとも血が滾ったのはやはりチューイとのエピソードの数々で、正直ハン・ソロとチューイが初めてミレニアムファルコンでタッグを組むシーンがよければそれだけでいいです!と言いたい自分がいます。最初の出会いにしても一緒のシャワーにしてももふもふチューイと(着込んで)もふもふハン・ソロが語り合う場面もかわいくてよかったし、ほんとあの「ケッセルランを12パーセク」の二人の息の合いよう!あそこのシーンは何度でも観たい。ただ、画面がちと暗かったのが惜しい気がしました。IMAXで見たんだけどなー。

あとランド・カルリジアンの描き方、演じるドナルド・グローヴァ―素晴らしかった。ああいう魅力的なキャラがいるのはシリーズものの強みだよなあ~。I hate you. I know.のやりとり最高でしたね。キーラの描き方といい続編ありきだった気がするんだけど、もし続編があったらこのランドとハン・ソロとチューイのやりとりがもっと見られたのかと思うと惜しい気がする。

しかし、ローレンス・カスダンは文字通り西部劇のフォーマットで描いたんだなっていうのが要素を抜き出すとよくわかりますよね。想い人が権力者に身を寄せている(気に入られている)、列車強盗、チェイスシーン、ポーカー!そして決闘! 最終盤の、どっちがどこまでだまし、だまされているのかの見せ方とかはさすがに老練て感じがしました。というか、クライマックス的には若干の物足りなさがあるところを、ウディ・ハレルソンベケットの魅力にも助けられてうまーく緊張感を持続させてるなっていうか。いやヴォスとの対決、ポール・ベタニーがそこまでせんでも!くらいの白シャツ・黒スーツでケープつきっていう鬼のビジュアルで目に楽しいことこの上ないんですが、形勢逆転あっさりすぎる!ってのはどうしてもありますよね…。

私の大学時代の友人に、ハリソン・フォードハン・ソロを見て「いつかハリソン・フォードと話せるようになるために英語を勉強しよう!」と一大決心し、立派なことに実際バリバリのイングリッシュスピーカーになったコがいるんですが、まあそれほどまでにSWにおけるハリソン・フォードは一種のアイコンであって、だから若き日の彼をやるっていうのはすごいチャンスであると同時にすごい試練でもあると思うんですよね。当たり前だけど、顔が似てればいいって問題でもないし。オールデン・エアエンライクハン・ソロミレニアムファルコンを目にした時のときめき、操縦席に座った時の高揚感になによりハン・ソロを感じることができたのが何よりよかったです。