「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」

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シリーズ6作目、毎回監督を変えるという今までの慣例を初めて破り、M:IRN(ミッション・インポッシブル/ローグネイション、以下みりんと称す)からクリストファー・マッカリーが監督・脚本で続投です!

今までのシリーズの総決算、という感じで過去作への目くばせもふんだんに散りばめられてるし、それどころかお話としては完全に前作から引き続きだし(なのでみりんはどうにかして見てから足を運ばれるのが吉)、登場人物的にも総ざらえ感がありました。もちろんごぷろ(シリーズ4作目、ゴースト・プロトコル)&みりんでぐっと「チーム感」が増したベンジーとルーサー続投(ブラントくんは残念ながら今回お休み)、そしてイルサも再登場。
シンジケートの残党がトップであるソロモン・レーンを失い(そういえばこの人も再登場)、無軌道なテロリスト集団として跋扈している、彼らは核科学者と接触し核兵器を使用した大規模なテロ攻撃を画策している、それを阻止するのが今回の君の任務…とくるわけなんだけど、冒頭からいきなり敵方にプルトニウムを奪われるという展開。

初見はIMAXで見たんですが、いやいや昨今これほど「映画館で見た気」を満足させてくれるシリーズもない。なにしろトム・クルーズのアクションが釣瓶打ちを超えて文字通り雪崩のごとく襲ってくる。マッカリー監督はあえて脚本未完成の徒手空拳で撮影をスタートさせたと言っており、いやそれはあなたが何より超有能な脚本家だからできるんですってば!普通ならそんなこわいことできないよ!とはいえ、みりんのコメンタリー聞いたときも驚いたけど、あの時もかなりの部分現場のとっさの判断で筋書きを決めてるんですよね。だってラストシーン決まってなかったって言ってたもんね。今回はみりんよりもさらにそのスタイルを推し進めたという感じ。実際、少々プロットが入り組んでいるというか、入り組んでいるわりに突貫工事ぽさがあったりするんですけど、後半の物語の勢い(それを推進するのが超弩級×20のアクション)がすさまじく、またイーサン・ハントという人物の来し方行く末みたいなものがうまいこと物語を重層的に見せることに成功しており、なんか終わった時には「ええもん見た」感が残るっていう…トム&マキューコンビ揺るぎない。

今回はCIAからの監視者としてイーサンと行動するヘンリー・カヴィルさん演じるオーガスト・ウォーカーという人物が出てくるんですけど、ちょっと露悪的に書きすぎかなあというのが若干気になった。露悪的というか、意地が悪いというか、特に最初のヘイロージャンプのとことか、そのあとで「おれも役割を演じていた」という台詞があるようにある程度は意図的なものとしても、もう少し「イーサンとは違う」けど「魅力的」というふうに持っていってくれた方が私としては好みでした。まあ、あそこでイラっときてるイーサン面白いけどね。それがあの最後の映画史上類を見ないヘリでのチェイスシーン(誰だあんなん考えたの)でのイーサンの「あのクソ野郎」の連打に繋がるかと思うと面白いけどね。

以下いろいろ雑多な感想をメモ書き!当然のようにネタばれてるよ!
・長官~~~~~~!!!!(これ以上は言えない)
・うう…めっちゃ楽しそうだったのに長官…(言ってる)
・それはさておきベンジー大好きっ子のわたしとしてはとうとう!2作越しで!ベンジーのフルマスクが叶った~!という喜びが!
・基本的にビッグバジェットムービーに出演しない方針のソロモン・レーン役ショーン・ハリスさん、前回のみりんのときに「最後殺してくれるなら」という約束で出たのに生き残り、あまつさえ続編にまで引っ張り出されるという…しかし本当にションハリさんなんで出てくれたんやろ。結構現場としては気に入っていたとかだといいな!
・そのショーン・ハリスさん、ソロモン・レーンだけど中の人は実は、なシーンがあまりにもうますぎて、うますぎて、この人…どういう!?天才か!?ってなったしあのシーン何回でも見たい
・そのションハリさん演じるソロモン・レーンを同乗させてのカーチェイス(しかしなぜ助手席?イーサンが隣なら抑え込めるから?)、ベンジーのかいだんかいだんかいだん!が懐かしくなるほどの「塩対応」ならぬ「塩同乗」ぶり(そんな言葉はない)
・パリでの撮影、バイク+カーチェイスも、ものの見事にパリ名所を回ってて笑いました。凱旋門ラウンドアバウト逆走てすごすぎか。そして相変わらずバイクチェイスの玉ヒュン度合いがすごい。4DXで見ると何度も「ぶつかる!」ておもう
・ヘリの操縦もイーサンなら当然余裕でしょ!って描き方じゃなくて、うんうんできるできるだいじょうぶ…て自分に言い聞かせながらやってるのが新鮮でよかった。荷物落とすの失敗して悪態つくとこ最高ですよね
・イルサ相変わらずちょうかっこよかった。イルサのかっこよさがみりんから全く損なわれてなくてホッとした。あのVIPルームでの足技惚れるぜ。自己紹介するウォーカーくんにこれぞ正真正銘の塩対応。イルサも興味ない人とことん興味ない!て感じだもんな。やっぱイーサンと魂の双子説
・後半ベンジーとイルサがコンビになるシーンがたくさんあったのもうれしかったなー。あのベンジーのピンチに覚醒するイルサかっこよすぎでしょ…あれこそ「絶対殺すマン」…!あとイルサがジュリアのこと「彼女好き」って思わず言うとこもよかった。つーかイルサとジュリアが並ぶとイーサンの!女の趣味!!てなる(似てる)
・マッカリー監督がSNSのQ&Aで、「ベンジーをひどいめにあわせないで!」ってファンの声に「もう遅い」って返してたんだけど、なるほどこういう…てなりました(笑)でもベンジー今回もいっぱい活躍してたしイーサンにニヤニヤしながら「君のことはぼくが守るよ」とか言われちゃうしあのナビの場面もこのベンジーの、ひいてはサイモン・ペッグの愛嬌だからこそたのしく見られるんだよな~と思ったり。ほんとベンジーがこのシリーズにもたらしたものは大きい!
・今回ウェットな部分をルーサーがかなり代弁していて、あのイルサに語るところもさ、これルーサーじゃなかったら、というか一歩間違えばすげえ陳腐なシーンになるところだよなあと思いつつも、これが唯一1作目からずっと出ているルーサーで、これがシリーズの6作目でいろんな思いが観客にもちゃんと積もっているからこそぐっとくるシーンになったんじゃないかなとおもう。
・イーサンの妻であるジュリアが再登場するよって情報が出たときは「どうなのかなあ」と思った部分もあったんですけど、いやこれ以上ないぐらいうまい着地点だった気がします。あのジュリアのさ、「あなたがいるから夜も眠れる」ってせりふ、吹替えでは「生きていける」だったけど、これは断然字幕の「夜も眠れる」のほうがいい。あの一言には不覚にも泣きそうになった。イーサンがようやく報われた瞬間というか…
・そう、4DXは吹き替えだったのでね、字幕と吹替え両方体験できたのはよかったんだけど、うーんしかし!しかしである。わたしゃ広瀬アリスちゃんもDAIGOくんも好きなんじゃ。むしろ大好きといっても良いぐらいじゃ。いやまあがんばってたかもしれないしDAIGOくんも前評判よりはよかったかもしれないけれども他の人の聞かせる度合いと比べちゃうと出来の差が如実だし、何より「がんばってる」って何の免罪符にもならなくないか?という気持ち勿論あるし、ほんとふつうにプロを使お?今回はみんな来日もしてくれたし宣伝材料たくさんあったじゃん?こんなことでふたりにマイナス感情抱きたくない~
・カヴィルさんのいろんな表情が楽しめたのも良かった。もちろん「上腕二頭筋再装填」のあのトイレファイトもすごいけど(しかしUNCLEといいBvsSといいカヴィルさんはトイレで戦う星の下に生まれているのか)、やっぱりあのヘリでのチェイスシーンと最後のタイマン勝負が最高ですよ。あの憤怒にまみれた顔!最高にセクシーだったしあそこで顔を半分焼こうっていったひとに勲章あげたい。カヴィルさん文字通り「歩くパルテノン神殿」とか言われるぐらいの超美形だからこそ、ほんの少しの欠損がセクシー度合いを増幅させるよね…!

今回本当に「スタントなしのアクション」が天元突破しすぎてて、みんな言ってるようにトム・クルーズ撮影中に死ぬなら本望ぐらい思ってそう(実際今回も足首を骨折したのが大きなニュースになった)ってなるし、いやおトムせんぱい御身大事にしてください…てもちろん思うんだけど、でもいやもうそういうアクションは後進に譲ろ?というようには思えないというか、まあ私はそういうとこある。本当にその人のためかどうかということを視野に入れないつーか。エンタメにおいて私は常においしい所しかもらう気がないというか。って何の話だ。

しかし、あのロンドンの街をひたすら疾走するイーサンのシーン、ただ走っているというそれだけがあんなにも物語を推し進めるひとってやっぱりなかなかいないと思うのだ。

トム・クルーズは映画の中での女性の描かれ方や、作品をとりまく空気や、そういうものをすごくちゃんと読んでいて、それを大きな作品でちゃんとヒットさせながら更新していくということをつらっとやってくれている得難い人だと思うので、そういう作品がもっともっとたくさん見たいので、くれぐれも安全第一でお願いしますほんとうに。

このシリーズ、私はもうなにしろ前作のローグネイションがほんとに好きで好きで、何度見てもたのしい、何度でも見たくなるし、好きな映画はもちろんたくさんあるんだけど「何度でもこの気持ちよさを味わいたい」と思わせてくれる作品てほんとに数えるほどしかなくて、私にとってはそういう映画の1本なので、なんとなく今回一区切りとなったように見えるこのM:Iのシリーズが次に何を描くのかやっぱり楽しみにしております。そしてそこにはぜひサイモン・ペッグ演じるベンジーもひっぱってきてください(笑)。