「クリード 炎の宿敵」

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1作目の「クリード チャンプを継ぐ男」がむたくたよかったので、続編公開も楽しみにしておりました!監督はライアン・クーグラーからスティーヴン・ケープル・Jr.にバトンタッチ。主演は勿論引き続きマイケル・B・ジョーダン!以下今作だけでなく1作目のネタバレもぽいぽい出てきますので未見の方はお気をつけください。

クリード」の続きでありかつ「ロッキー4/炎の友情」のまんま続きなので、この2作を見ていた方がよりのめり込める感じはありますが、見るひまない!というひとはあらすじだけでもさらっておいたほうがよい、というぐらいには前作を意識した構成です。自分の父であるアポロ・クリードをリングで殺したイワン・ドラゴ、セコンドにつきながらタオルを投げることができなかったロッキーという因縁と、ロッキーに打ち負かされたことで辛酸をなめることとなったドラゴとその息子、そして父を殺されたアドニス…という因縁が絡んでくるっていう。いやしかしまさかロッキー4がこんな形で因業因縁渦巻く歴史の基となるとはって感じですね。

私は前作であの有名な(もはや、映画を見ていない人でもこの曲は知っている、というぐらいに浸透した)「ロッキーのテーマ」を、待って待ってあの終盤のここぞ!という場面でぶちかましてきたクーグラー監督の手腕にめろめろんになりましたし、実際あれ、初見のときほんと思わずあそこで立ち上がりそうになったんですけど、今作もそういう場面的なカタルシスの作り方はわりと前作を踏襲している感じがあります。テーマ曲の使い方も、2度目なので前作ほどのうおおおお!感はないものの、その代わりドラゴ親子を丁寧に描写することで物語の面白さが増した気がする。

極論を言ってしまえばさ、アドニスがただ負けて終わる、みたいな展開なるわけないわけで(しかも対戦相手は父を殺した男の息子)、だとするといわゆる「敵側」をどう描くかってのはむたくた重要じゃないですか。今回私がいちばんすごいなと思ったのは、アドニスはヴィクターに勝って言ってみれば父の仇をとる形になるのと同時に、イワン・ドラゴはあのときロッキーがアポロにできなかったこと成し遂げる、という構図になるのがほんとうにすごい。彼らが自国で受けた鬱屈を丁寧に描いているからこそ、最後の最後に人間性をみせるあの展開!唸りました。

ボクサー虎の穴でのトレーニングとかぎりぎりでトンデモになりそうなところをなんとか踏みとどまった感もありつつ、そのトレーニングを含め前半と後半でヴィクターとアドニスが何かを得たり逆に失ったりが対比して描かれてるのもうまかったですね。あと、これは前作もそうでしたが、ビアンカアドニスのお母さんも挑発に乗ることには慎重でも、一度決めたら絶対勝ってこい、って強さがあってかっこいい。時にアドニスを突き放したり、必要とされる時にはちゃんとアドバイスをしたり、自立した女性だなあという感じ。

あとはまあ、なんといってもマイケル・B・ジョーダンの魅力ですよね。ほんと、レッドカーペットとか普段のインタビュー姿とか見ててもキュートな人だな、と思うんだけど、画面の中のかれはもうキュートだったらそのキュートさ倍増だし、超弩級にセクシーだし、いやーほんと眩しいくらい輝いとるわ…と思いました。そういう彼の姿をスクリーンで見る、というだけでもこの映画の価値がある、というぐらいの圧倒的なスター性。スタローン演じるロッキーもだんだん好々爺な感じが出てきて、あのプロポーズのアドバイスをもらうシーンとかによによしちゃいましたよね。クリードの続編として手堅く、かつロッキー4から綿々と続く人間ドラマの集大成を堪能させてもらいました!