「アクアマン」

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ジャスティス・リーグで初お目見えだったアーサー・カリーさん、アクアマンの単独映画。ワールドワイドボックスオフィスではDCEUシリーズ最大のヒットとなっております。監督はジェームズ・ワン

名前の通り海洋冒険ものではあるんですが、むしろ設定は神話や貴種流離譚の王道中の王道を行くという感じ。人間との間に生まれた子、親との別離、宝具を示す地図、試練…。海底世界はその神話世界部分を担っているので、「海の底にも都はございましょう」(話が違う)のとおり、想像と空想大爆発の魅惑的な「海の冒険」を楽しめるのがいいし、「それを手にしたものが真の王となる」トライデントを探す旅はさながらインディ・ジョーンズの如し。海の世界、陸の世界、それぞれに話が飛んで、しかも行く場所行く場所で「おっぱじめやがったな!」みたいなアクションシーンが続くので、ともすれば大味になりそうなところをぎりぎり踏みとどまっているのがすごい。踏みとどまれているのは登場人物たちの関係性については地に足のついた描き方にしているからかもな~と思いました。中でもアクアマンとブラックマンタとの因縁、アーサーの父と母とのロマンスに説得力があって、その初速が物語をうまく転がしてくれてたなという印象。

人間の世界で育った豪放磊落なお兄ちゃんと、帝王学を身につけさせられた生真面目(いやあの子まじめだよね…)な弟という構図、あの決闘の直前に兄弟の会話があって、そこでちょっとほだされるオーム、ちょろい!ちょろQか!と思いました。参謀には離反されるしなんか個人的にあの子憎めないんですけどー!ってなったよね…。いやほんとアメコミ界での兄弟喧嘩は文字通り世界の終わりに直結するから…皆自重して…。

物語が陸から海、海から砂、と移動していって、それぞれなんとなく物語を推進するカギとなるエピソードがあり、一瞬物語の流れが停滞しそうだな?という匂いがすると同時にドガーン!とアクションシーンが始まるので、ほんといわゆるトイレタイムがないです。それぞれ戦い方のバリエーションが豊富で陸と海で見せ方もちがうので飽きないし、中でもシチリアのブラックマンタ戦はむーちゃくちゃよくできてましたね。アーサーとメラそれぞれが能力ガチンコ披露で渡り合うし、遠景から近景のショットへつなげるところも見応えあったなー。海の生き物と一緒に海中を散歩する、なんていう誰でも妄想するような優しい世界から、甲殻類がハサミを振り上げ蛸が打楽器をぶったたく乱打戦まで、アイデアに満ちた展開が続いて見ごたえありました。

アクアマンのジェイソン・モモア氏、むちゃくちゃはまり役。かっこいいんだけどそれ上回る愛嬌があって魅力大爆発でした。オームのパトリック・ウィルソンもよかったね…酷薄そうな風貌なのにちょっと押すとちょろさが出てきちゃう甘さがあって、これ続編でお兄と共闘とかするようなアレになったら爆発するぞ!(何が)と思いました。ウィレム・デフォーが出てるの知らなくて、バルコ役で出てきたときもびっくりしたし、さらに若い頃のつるんとしたデフォーまで拝めたのでびっくりの二乗。ありがたい。ありがたい。最近の技術はスゴイデスネ。

惜しむらくは見ている間異様にトイレが近くなってしまって、終盤膀胱との戦いにリソースを割いてしまい若干集中力を欠いた…ってことでしょうか。いつも気をつけて水分とらないようにしてるのになー。海中映画だから?関係ある?そういう意味ではもっかいリベンジしたい気持ちもありつつ、とはいえこの後見たい映画が続々公開されるので悩ましいところです。