「永遠の門 ゴッホの見た未来」

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監督はジュリアン・シュナーベル、主演ウィレム・デフォー。デフォーはこの役でオスカーの主演男優賞候補にもなっています。映画のポスターにもなっていたと思うんですけど、あの有名なゴッホ肖像画のスタイルで撮られたショットがウッ…と思うくらいに似ていて、日本で公開されたら見たいな~と思っていました。

あのデッサン帖とか、ゴッホの死の真相については新説を採用した脚本になっていて、おお、なるほどと思う一方、銃の誤射だけならともかく(そして銃を捨てるとこまではともかく)絵を埋めるってところも含めてけっこう強引な書きぶりだなという違和感も残る感じ。デッサン帖の方はまあ夢があるというか、そうだったかもしれないと思わせるし、エンタメとしても納得のいく描写だったなと。

昔、ゴッホ(とゴーギャンとスーラ)を題材にした芝居で、彼(ゴッホ)には世界がこう見えているんだ、って台詞があって、それがすごく印象に残ってるんですけど、まさに「そう見えている」世界をゴッホの視点から描いてましたよね。極端に狭い視界、焦点が合わず周囲と混ざり合う世界…。

しかし残念なことにというか、開始10分ぐらいで「これはひょっとして…ヤバいのでは」という予感はひしひしとしていたんですけど、この揺れるカメラにかなりやられてしまいまして、ゴーギャンから別れを告げられる場面でそれが頂点に達し、あの繰り返し脳内に響く台詞の相乗効果もあって「あっダメだ…ちょっと目を閉じさせて」となってしまったことを告白いたします。自分が揺れる4DXとかは大丈夫なんだけどね…この手持ちカメラの揺れみたいなやつには弱い私…。

実際のゴッホはもっと若くして亡くなったので、デフォーの年齢からするとどうしても達観めいたところが出てしまう(マッツ演じる神父との対話とか)のはあるけど、それを差し引いてあまりある、芸術に生きることの切実さがデフォーからあふれ出てて素晴らしかったです。テオとのシーンぜんぶよかったな…。あとゴーギャンをやっていたのがオスカー・アイザックでむちゃくちゃハマってました。オスカー・アイザックに行くなとすがるデフォーなんて、そんなもん最高に決まってますよね!