「ターミネーター:ニュー・フェイト」

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全世界で大ヒットした「ターミネーター2」の「正統な」続編!あのジェームズ・キャメロンが製作に復帰!サラ・コナーも戻ってくる!とこれ以上ないほど鳴り物を鳴らしてやってきたターミネーターの新作です。監督はティム・ミラー

むちゃくちゃよかったなー!というところと、いやそこはちょっと飲み込めねえっす!ってところが両方あって鑑賞後の気持ちがなかなか複雑でした。最高だったのは言うまでもなくマッケンジー・デイヴィス演じるグレースのキャラの立ちようと見事なアクション、そしてダニーとグレースの連帯だし、そこにサラが絡んできて、自立した、自分のことは自分で決める、という意思のある(そして世代の異なる)3人の女性が物語を牽引していくとこ。

しかしながら物語全体の流れとしては残念ながら私の求める美しさに欠けるというか…「こういう展開にしたいためにストーリーをこの方向にねじまげる」というところがあっていやー、どうなんスかね…という気持ちも否めず。冒頭でのジョン・コナーのあれにはそれほどショックは受けてないんですけど、ミッションを果たした後のT-800の顛末にかなりげっそりしてしまった。夫の暴力を受けて行く当てのない母子と暮らし人間としての気持ちに目覚めた(っていうのを台詞で言っちゃう)って、いやお前はマグニートーか!?女が足手まといになるとわかってて窮地に乗り込みことさらピンチを創り出すマッチポンプに飽き飽きしているのと同じくらい、男が守るべきものに出会って人生をやり直すパターン(その守るべきものの無垢さも含めて)も「もう それ 見た」感が強すぎる。それにさー、T2でのもっとも美しい描写といっていい、あの「人間がなぜ泣くのかわかった おれには涙を流せないが」っていう、あの叙情を、台詞で説明すんのかい!みたいながっかりさがありますよ。

あとこれは難しいとこなんだけど、シュワルツェネッガー演じるT-800とリンダ・ハミルトンのサラ・コナーの登場シーンがそれぞれ予告で出てしまっていて、いやでも出てるからこそ客も観に行きたいと思うわけなので、出さないわけにいかないし、でも本編見ながら「このあと出るんだな」ってわかっちゃってるのは残念でもあるし…いやこれはホント難しいよね…。

追ってくるRev-9を除けば、いや含めても劇中もっともバイオレンスなのがサラで、これだけ強い意思の「絶対殺すマン」を体現してくれてるの本当に最高でしたね。グレースほんっとにかっこよかった。登場して3秒で「マッケンジー・デイヴィス夢女子理解」の旗が立ちました。サラとダニーの違いはさ、もう見てるほうはダニーに聖母マリアの位置づけをあてはめるってのはさすがにねえわ、と思ってるとこもあるし、あと劇中の目くばせ(グレースの反応とか)も多いので、サプライズというような感じはしなかったです。

あの決めセリフの「I’ll be back」をサラに言わせ、シュワちゃんに「I'll won't be back」と言わせるのとかすごくよかったんですけど、テレビで放送していたT2を改めて見たら、マジで隅から隅まで名作すぎるやんけ…ってなりましたし、ターミネーターのアイデアとしてあの液体金属のT-1000を超えるインパクトって28年経っても出てこないもんなんだな…ということにもしみじみしたりしました。