「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」

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スターウォーズ、全9部作の完結編!監督は前作のライアン・ジョンソンから7作目を撮ったJ・J・エイブラムスにふたたびバトンタッチ。

見終わった後まず思ったことはうんうん、よかった、よかったじゃん。各論で飲み込みにくいところがある気がしたけどまあまあ、よかった!うん、よかったよ!だったので、よかったんだと思います(語彙どこ行った)。いちおう全作見ているけれどさほど強烈な思い入れがあるわけではない、とはいえ私は前作の「最後のジェダイ」がどう頑張っても飲み込めなかったタイプの人なので、JJに戻ってよかったなと思いましたし、わりとすっきり劇場をあとにできた感じです。

このあとむちゃくちゃネタバレている(製作側が予告編とかでも出してない系のことも書いてる)ので、まだ見てない人は見てから読んでね。

むむむ、となった点はやっぱりパルパティーン周りのところですかね。あのお馴染みのオープニングからいきなり1行目で復活したってことで話を済ますの荒業すぎんかってなったし、とはいえスノークがこの前に死んでるからお出まし願うしかないわなってのもわかるし、いやでもだったら最初からそういう筋で話を作っておかないか?ってのも思うしでモヤらなかったと言ったら嘘になる。あとあのじいさんレイをどうしたかったんだ。「生かして連れてこい」でここは一貫したほうがよかったのでは。カイロ・レンにレイを殺せっつったり、レイに自分を殺せっつったり、レンとレイに死ねっつったり、お前のヴィジョンが見えねえんだよ!!!ってなりましたもんね…

あとストーリーラインの軽重というか、どこに重きを置くかのバランスがシーンごとにバラバラなんですよね。銀河の危機なの?チューバッカの命なの?アンドロイドのシステムアンインストールなの?その時々での「重要事項」だけを追いかけて描いてるのでC-3POの翻訳システムと全宇宙の危機が同じ天秤にかかることになっちゃうっていう。チューイの件も、いやあれがチューバッカの最期のわけない(さすがに暴動起きるぜ)って観客も思ってるのにそれが物語として引っ張られるっていうジレンマ。

なので、私がもっとも重要視する「物語が美しい流れを描く」という点では疑問符を付けざるを得ないんですが、それでも最終的に「よかった」に針が傾いているのは主要キャラクターの描きぶりとしてはわりと満足いってるからという気がします。私フォースの覚醒のポー・ダメロンが大好きなんですけど、最後のジェダイでの彼がほんとしょんぼりしちゃうアレだったので、今作でなんとか中間地点ぐらいまでには持ち直した気がしたし、レイとポーとフィンの3人にフォーカスをあてたところはぶれなかったのが自分の好みにあったんだなと思います。最初のさ、ポーがBB-8の愚痴を聞いてレイがミレニアムファルコンになにしとんだゴルァみたいなああいうやりとりがめっちゃ好きなんだよね私。フィンは今回むたくた頼りになる男で、ポーのちょっかいを軽くかわしてるのもいい感じです。今回また新しくいい雰囲気の女の子でてきたけど、毎回こういうの出さなきゃいけないルールでもあるのかとはちょっと思ったな~。だってフィンはレイにやっぱり心がある感じするじゃん。それだけじゃだめなんかい?

あとはなんといってもアダム・ドライバーだよね。フォースの覚醒で見た時は「またすごい重要な役に思い切ったキャスティングだな」って思ったけど、今となっては制作陣の慧眼おそるべしとしか言いようがない。スターウォーズによって有名になった役者はいっぱいいるだろうけど、アダム・ドライバーはもうその域を超えてるつーか、もはや逆にカイロ・レンが彼じゃなかったら?って考えると恐ろしい感じがしてくるもん。いやもうほんと素晴らしい。言葉では言い尽くせない。

レイとの「交信」も、今回の見せ方はかなりオタク心くすぐるっつーか、あのライトセイバー・パスはうおー!てなったもんね。あのデス・スターでの父との会話、そこからの展開も、相当強引な展開なのに、アダム・ドライバーに集中して見ているとちゃんと乗っていけるんですよ。

最終決戦の構図もまあ、いつものあれだよね!と思うし、「彼らはやってくる」な展開も、エンドゲーム…とか、ダンケルク…(民間船だけに…)とか思ったけど、私この味は何度でも美味しく頂けるタイプなので美味しくいただきました。まあ、あの前振りで「来ない」ルートなんてないんだけど、でもここぞというところで来るとわかっているものが来る気持ちよさを味わうの、きらいじゃない。

ジェダイは血ではない、という最も強烈な証左となるレイの最後の対決とあのラストシーン、あそこが最高に腑に落ちたというのも読後感じゃねーや鑑賞後感がよかった要因かもしれません。

あとエンドロール、これでもか、これでもかとばかりに浴びせてくるジョン・ウィリアムズの名曲の数々。あれは席を立てません。このあともマンダロリアンはじめシリーズの系譜は続くみたいですが、とりあえずはいったんのピリオドですね。おつかれさまでした!