2019年の観劇ふり返り

令和2年明けました!明けてもう3日目!というわけで今頃ですが2019年の観劇ふり返り参ります!明けましておめでとうございます!

総観劇本数48本。リピート含まずなのは例年通りですが、もはやリピート自体殆どないのも例年通りです。かろうじてけむりの軍団を2回観たかなぐらいです。そして2019年は個人的に観る芝居の選択をする際に自分の中でいくつか決めごとをしておりまして、それが「単価の高いミュージカルはひかえめにする」「歌舞伎の割合を去年よりもおさえる」など。まあ個人的な懐具合ありきのテーマではあるし歌舞伎は勘九郎さんお休みだからってのもありますが、まあいろいろ思うところもあり、そもそも私は自分の出発点は小さな劇場の会話劇だったのではないか…と思ったり思わなかったりで、今年はできるだけミニマムな芝居を優先して見に行こう!と思っていたんでした。

ということで2019年良かったもの5選(観た順)。

トロンプ・ルイユ
ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ
チック
命、ギガ長ス
最貧前線

パッと選んでちょうど5本だったんですが、このほかにもミュージカルだったらキンキーブーツ、歌舞伎だったら四月こんぴらのすし屋とかもよかった。

小劇場ならではのアイデアと見立てに満ちた作品という意味では「トロンプ・ルイユ」はかなり満点に近くて、見立てることからくる面白さと切なさがきっちり両輪にあって本当に大好きな舞台でした。2018年から続いたシアター風姿花伝の企画のおかげでパラドックス定数の作品を多く観ることができたのはうれしかったな。

ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶはプロデュース公演のお手本というか、レキシの楽曲でミュージカルをやるという優れたアイデアに、それを実現するならこの人しかいない、という演出家をちゃんとひっぱってきて、キャスティングもスタッフもガッチガチのガチな布陣という、よくある寄せ集めとは一線どころか三線ぐらい画す作品だったなと。これぞプロの仕事。

チックは、初演の評判を耳にしていたので再演チャンスに飛びつきました。こういうところだけは記憶力がまだ生きている。評判に違わぬ高いレベルの作品で、ラストシーンのプールの底に沈んで上を見上げる、あの見せ方と「思っているよりもずっと長くそうしていられる」という台詞が重なるところ、忘れられないですね。

私は松尾スズキさんの作品をそれなりに長いこと観てはいるんですけど、ずっと「私は松尾さんのいい観客じゃないな」っていう感覚がどこかにずっとあって、めっちゃ憧れてるんだけど、好きなんだけど、私に矢印が向いていないような、作品は大好きなのに「私のものではない」みたいな一枚膜を張ったような感覚がずっとあったんですけどね、この「命、ギガ長ス」は初めて松尾さんの作品とガッチリ握手できた!って感じがしたのが嬉しかった。「ただ、いたずらに、長らえるだけでもいいので!」っていうあのセリフの風を真正面から受け止められたというか。個人的に記念碑的な感じです。

最貧前線は布陣からすると間違いなさそうだけど、宮崎駿の短編漫画を舞台に、というのが吉と出るか凶と出るか、という気がしてたんですけど、演出も脚本も、そしてもちろん役者も一分の隙もない仕上がり。なにより、エンターテイメントとしてよくできてる!そこがすごく好きでした。こういうテーマを扱って重いボールを投げるのも勿論大事なんだけど、まず作品として愛せるっていうところの視点がしっかりある。

2020年もすでに気になる公演情報が続々入ってきつつありますが、夏はオリ・パラ関係で遠征が途轍もなく困難になりそう(宿がない)なので、ちょっとうまいこと考えないとだめかな~って感じですね。2020年もたくさんの良き芝居と巡り合いたいです!